超福祉展

“意識のバリア”を“憧れ”に変えるイノベーション

ピープルデザイン研究所 × KMD「超福祉展」

障害者をはじめとするマイノリティや福祉そのものに対する「心のバリア」を取り除こうと、2014年から毎年渋谷で開催されている「超福祉展」。正式名称は「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」。NPO法人ピープルデザイン研究所が中心となり、誰もが「カッコいい」と憧れるようなテクノロジーやデザインの展示、ボーダーレスなワークショップやシンポジウムなど、多様な文化を内包するエネルギッシュな街を舞台に繰り広げられています。同研究所の理事、松岡一久さんとディレクターの田中真宏さんは、「ダイバーシティやインクルージョンをさらに超え、”かわいそう”が”かっこいい”に変わる”超福祉な日常”を、渋谷発で発信していきたい」と語ります。ファッションやアート、テクノロジーの要素を前面に押し出すことで若い世代が集まり、2019年には75,000人もの来場者で賑わう一大イベントへと成長。大企業も積極的に出展し、期間中は渋谷区内11会場でイベントが開催され、賛同事業者が100を超えるようになりました。

KMDもリアルプロジェクト「Superhuman Sports 」「Embodied Media」が超福祉展の立ち上げ時から大きく関わっています。南澤孝太教授は「どちらのリアルプロジェクトも『誰もが楽しめる社会をつくる』というインクルーシブデザインに取り組むなかで、超福祉というコンセプトはとても刺激的。ここで得たアイデアをもとに、KMDでも新たなプロジェクトを進める機会になっている」と言います。例えば義肢の研究から生まれた「MusiArm」は楽器の機能をもった義手。欠損を障害ではなく余白ととらえ、楽器として自由にカスタマイズすることができます。また「スライドリフト」はドリフト走行ができる電動アシスト車椅子です。介護現場で活用するだけでなく、これを新たな身体ととらえたパフォーマンス芸術が創出されるなど、すべての人が自信を持って思うままに自己表現するきっかけとなっています。

2020年は超福祉展が最終回を迎える節目の年。またKMDもパラリンピック開会式の前日に,英国British Councilと共同で,福祉とイノベーションの国際会議「Disability Innovation Summit Tokyo 2020」を渋谷で開催する予定であり、渋谷はますます福祉のプラットフォームとして発信力を高めていきます。「超福祉展は人と人とをつなぎ、イノベーションのハブとなっている。回を重ねるごとに、次々と新しいプロジェクトやテクノロジーが生まれてきている。この勢いをさらに広げていきたい」と松岡さん田中さんのふたり。5年前には明確に存在した意識のボーダーラインが溶け合う日もそう遠くはなさそうです。

NPO法人ピープルデザイン研究所
理事 松岡一久氏

NPO法人ピープルデザイン研究所
ディレクター 田中真宏氏