バイオデザインで社会課題に挑む
東京ガス × KMD「RAIKI」
2019年6月、ウォルドマン・マッシュ教授率いるリアルプロジェクトSAMCARAの学生たちが米国ニューヨークで開催されたバイオデザインの国際コンテスト「バイオデザイン・チャレンジ2019」のファイナリストとしてプレゼンテーションを行いました。
「RAIKI」は、植物の葉が風に揺れて、葉同士がこすれることで電気を発生するという摩擦帯電の現象に着目し、電力にアクセスできない僻地や未来の都市などでの活用を構想するプロジェクトです。学生たちは生物学と工学を組み合わせた合成生物学の考え方を取り入れ、風を受けやすい葉の形状を調べ、より多くの電気を生み出せる新しい葉をデザインしました。
このプロジェクトに協力したのは東京ガス。デジタルイノベーション戦略部の田口裕人氏は、「私たちの部署は主にデジタル技術を使って、新たなエネルギーサービスや、お客さまの暮らしをより豊かにするサービス開発に取り組んでいます。今回は技術からではなくデザインから考えることに意味があると考えて参加しました」と説明します。具体的には、同社の基盤技術研究所内でガス熱の流れ方や燃焼反応を研究しているチームが協力し、学生がデザインした形状で流体のシミュレーションを行い、風が吹いたときの動きのデータを作成しました。その結果から、複数の候補の中からより効率的に風を受ける形状を選定しました。
SAMCARAの学生は社会や環境の問題に関心のある人たちです。「植物を使って電気を生み出す未来を実現したい」という発想から生まれたバイオデザインは、今回は残念ながら受賞を逃しましたが、会場に大きなインパクトを与えました。田口氏は、「小さな電力をまかなうというエネルギー供給のひとつの選択肢を提案することができた。東京ガスにとっては、技術的な実現性よりも、考え方を学んだことが収穫でした」と話します。
欧米では大きな注目を集めるバイオデザインですが、「日本で扱う大学はまだほとんどない」とウォルドマン教授。「AIによっていろいろな職業がなくなると言われていますが、僕は次世代のデザイナーはバイオや材料工学に取り組む必要があると思っています」。SAMCARAでは今後もバイオデザインのプロジェクトを推進していきます。
RAIKIのプロトタイプ。日本の樹種を参考に、軍配のような葉や風が抜けやすくより多くの動きを生み出すように穴が空いている葉などをデザインした。

東京ガス株式会社
デジタルイノベーション戦略部
サービスイノベーショングループ
田口裕人氏
