障害当事者と共にアバターを通じた新しい働き方をつくる
オリィ研究所× KMD「身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発」
KMD と株式会社オリィ研究所は、内閣府と科学技術振興機構によるムーンショット型研究開発事業の一環として「身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発」に取り組んでいます。南澤孝太教授はプロジェクトの狙いについて「アバターという新しい身体を通して、ひとつは新しい暮らしや働き方を実証すること。もうひとつは人の経験や感覚をデジタル空間で流通させ、新しいインフラの可能性を探ること」と説明します。
オリィ研究所では、代表の吉藤健太朗さん自身が過去に引きこもりを経験し「当事者たちと一緒に自分らしい生き方をつくっていきたい」と考え、2010年にアバターロボットOriHimeを開発。以来、障害や病気などで外出困難となった人々が就労し、社会参加する機会を提供してきました。2020年には日本橋に分身ロボットカフェ DAWN ver. βの常設店舗をオープン。「パイロット」と呼ばれるメンバーが全国各地からOriHimeを遠隔操作しながら接客し、連日多くのファンやリピーターでにぎわっています。
これまでに、分身ロボットカフェを舞台に2つの公開実験を実施しました。「複数アバター分身実験」では、1人のパイロットが複数のOriHime を乗り換えながら、客の出迎えから見送りまで接客全体を担当。その結果、より高いホスピタリティが実現し、パイロット自身の達成感にも繋がりました。また「共創アバター融合実験」では、2人のパイロットが一緒にロボットアームを操作してケーキをデコレーションしました。助け合うことで難しい作業をこなし、個性が重なることでより創造的な成果を生み出せることがわかりました。
このような取り組みを通じて、生まれながらの身体的制約を超えた豊かな経験を得られる社会の実現を目指しています。南澤教授は「アバターを用いた分身もその人と同一だと言えるのか。人間の定義は、従来の肉体に紐付いたものから変化していくだろう」と話します。そのときに必要な社会制度とは何か、国際社会でどのように価値を共有していくか。新しい未来の実装に向けて、今後も多角的に取り組んでいきます。
(本記事は2023年3月に作成されました。)


