プロジェクションドア

建物と空間に新しい価値を与える自動ドア

ナブテスコ×KMD「プロジェクションドア」

稲蔭正彦教授と瓜生大輔特任助教、佐藤千尋特任助教による指導の下、2年半にわたって、自動ドアメーカーのナブテスコと取り組んできたプロジェクト「プロジェクションドア」は、既存の自動ドアに対する研究から始まりました。

人が訪れたとき、最初に接する場所でありながら、普段は全く意識することのない自動ドア。しかし、そこを通ることで、喜びや楽しさなど新たな価値を生み出すことができるのではないかという仮説から、様々なドアのあり方を探ってきました。こうして生まれたのが「プロジェクションドア」です。

通常は透明な自動ドアに特殊スクリーンを貼り、プロジェクターで映像を投影。それだけではデジタルサイネージと変わりませんが、ナブテスコの自動ドアを制御するモーターユニットとシステムが連動し、ドアの開閉に追随してコンテンツが表示される仕組みになっています。ドアを通り抜ける様子を映し出すだけでなく、ドアの動きに合わせたクリエイティブな作品をつくることも可能です。

建物にすでに取り付けられている自動ドアに、このプロジェクションドアを導入することで、フレキシブルに外観を変化させられるほか、通行者にはまるで建物そのものが変化したような印象を与えます。さらに新しい表現媒体にもなり得るでしょう。実際に、プログラマーや映像作家、イラストレーターとのコラボレーションによって、どのような新しい作品が成立するのかを検討しながら、プロジェクトは進行中です。

2015年10月より、神奈川県海老名市にある商業施設RICOHFUTUREHOUSEで実際にプロジェクションドアを設置。安全性の評価やソフトウェアの改良などを目的としたフィールドテストを開始しました。11月には神戸国際展示場で開催されたSIGGRAPHASIA2015に特別展示として参加し、期間限定のイベントでの設置の可能性を探るなど実証実験を重ねています。各現場では、陽が落ちて暗くなると多くの人々が足を止め、写真を撮るなどの様子も見られました。

今後はクリエイターの要求に合わせた機能の追加や、利便性の向上を図り、商業利用可能なソフトウェア環境の構築も進める予定です。

「ゲームクリエイターや様々なプログラミング言語が得意なプログラマーなど、幅広いタイプのクリエイターにプロジェクションドアのコンテンツを制作してもらいたいと考えています。従来の自動ドアの概念を超え、人々の記憶に残る演出や商業面でのブランディングツールとしても、まだまだ可能性は広がるはずです」(瓜生大輔特任助教)。

(本記事は2016年3月に作成されました。)

海老名市西口再開発時に誕生したリコーフューチャーハウスに設置されたプロジェクションドア。

神戸市内で開催された国際学会SIGGRAPHASIA2015のメインエントランスを鮮やかに彩った。