情報銀行

個人の活動履歴データを預かり、活かす

KMD他「情報銀行」

現代においては、日常の行動やウェブの閲覧、買い物履歴といった個人の活動履歴はインターネット上を飛び交い、通販サイトやSNSに蓄積されています。認識されないまま集められ、使われているこれらの情報を個人が把握し、自ら選んだ機関に委ね、安全に管理してもらい、公開するものを選び、ネット利用時に個人へ還元する……。その仕組みが、砂原秀樹教授らが進めているプロジェクト「情報銀行」です。

2014年7月に産学連携のコンソーシアムを立ち上げ、KMDや東京大学などの研究機関のほか、NEC、富士通、電通、大日本印刷などの企業が参加し、公共性の観点から安全で安心な機関づくりを開始。「銀行」という名は、民間による公共サービスであるというイメージに由来するものです。インターネットが民間公共団体によって策定され、発展したことにならい、行政ではなく民間による中立の公共インフラを模索しています。自分のどんな情報がネットを通じて集められているのかを可視化し、秘密にする情報と公開する情報を能動的に制御するのが狙いであり、将来的には、複数の情報銀行が並立することで、情報保護と還元の均衡を選べるようになることを構想しています。

プロジェクトでは、コンピュータセキュリティの面だけでなく、データを活用した社会デザイン、法律や政策面の整備、社会への影響などの側面にもアプローチしていきます。情報銀行コンソーシアムに参加するNECクラウドシステム研究所の佐古和恵技術主幹は、「KMDにはネット社会を良くしたいというパッションを感じます。教授陣はインターネット黎明期の経験もあり、技術だけではなく法律や社会的需要といった部分でも助言をいただける。この仕組みによっていかに素晴らしい未来が実現するかという、社会へのアプローチについても一緒に取り組みたい」と連携に意欲的です。

スマートフォンの普及と、それによって収集された情報を元にするサービスは今も拡大しています。企業活動にとってもビッグデータの重要性は増す一方。そんな中、自分の情報が勝手に集められてしまう怖さを払拭し、安心して生活に役立てる情報銀行は、未来に不可欠なインフラになるはずです。そしてそれは、テクノロジー、デザイン、ポリシー、マネジメントの4つの要素を組み合わせたイノベーションに取り組むというKMDの大きなテーマとも重なります。

(本記事は2016年3月に作成されました。)

インターネット上で生成されるパーソナル情報を可視化する「パーソナル情報ATM」

NECクラウドシステム研究所技術主幹 佐古和恵氏