修了生の声

メディア・イノベーターへの旅

星野 新

日本

CAREER 2020年4月入学、2023年3月修士課程修了

工学部で輸送やエネルギー変換の研究に熱中していた私は、計算に終始するのではなく実際に人々の経験を変容させる側に立ちたいと考え、KMDに入学しました。
KMDでは佐藤先生率いるITOMAでサービスデザインの理論を学び、空港での経験設計やサイバーセキュリティ業界の業務可視化の研究を行いました。また、2年目からはCEMS修士号のため欧州とシンガポールで学びながら働き、国境を超えて活躍する仲間と出会い、切磋琢磨するようになりました。
KMD卒業後は、CEMSの同期とともに戦略コンサルティングファームのシンガポールオフィスに就職し、国際進出戦略に関わるプロジェクトを担当しました。現在はUAEに拠点を移し、公的部門のイノベーションを中心とした政策顧問をしています。今後は自分のルーツであるテクノロジーへの情熱と、未来社会を構想し具現化するKMDの“MediaInnovator”としての側面を融合させ、中東や北米で未来都市の経験設計に関わる仕事をしたいと考えています。
(本記事は2024年3月に作成されたものです。)

ターニングポイントとしてのKMD

根本 貴弘

日本

CAREER 2009年4月入学、2011年3月修士課程修了 / 2011年4月入学、2014年3月後期博士課程所定単位取得退学、2017年2月博士学位取得

現在、東京農工大学の准教授として、大学情報システムのデザインや研究、教育活動に従事しています。一方でKMD在籍時から継続しているIETFでの標準化活動にも取り組んでいます。国際化技術に関する標準化提案を行うとともに、その専門性を活かしてエリアレビューチームの一員としてほかの技術の標準化推進にも貢献しています。また、ISOCというインターネットの発展を牽引する国際組織の日本支部の役員を3期6年務めるなど、コミュニティ活動にも取り組んできました。
KMDでは、それまで学んできたデザインや国際協力の分野から離れて、杉浦先生や加藤先生らの指導のもと、インターネット技術の分野について学びました。新たな分野への挑戦は苦労も多かったですが、多様性とコラボレーションを大切にするKMDカルチャーに触れ、単に技術を学び国際標準をつくるだけでなく、グローバルに活躍するためのセンスも磨くことができました。
(本記事は2024年3月に作成されたものです。)

KMD = 共創する場

宮北 剛己

日本

CAREER 2009年4月入学、2011年3月修士課程修了 / 2012年4月入学、2018年3月後期博士課程修了

大学では文学部に在籍していました。大学時代に映画制作サークルでの活動に没頭するなかで「ものづくりを通した学び」に興味を持ち、KMDに入学しました。修士課程ではGlobalEducationとDigitalKidsの2つのプロジェクトに参加し、教育者やアーティストと連携して学習プログラムを展開しました。
その後、博士課程では大川先生の指導のもとDigitalPublicHumanitiesの分野で、文化資源のデジタルアーカイブに関するデザイン理論・手法をテーマに研究を行い、現在は慶應義塾に新設された大学美術館ミュージアム・コモンズで専任講師として展覧会のデジタル展開、FabLabの運用や中学生から大学生の教育活動に携わっています。
振り返ると、私の場合KMDでの経験すべてが現在の仕事に繋がっており、なかでも他者との共創を通じた学びや気づきを、今も何より大切にしています。自分ひとりでは不可能なことも、ここKMDに集まる人たちの力で成し遂げられた、そんなかけがえのない場所です。
(本記事は2024年3月に作成されたものです。)

多角的な視点を持つエンジニアに

小西 由香理

日本

CAREER 2015年4月入学、2017年3月修士課程修了

大学で情報科学を学んでいたときに、技術を用いて価値のある体験をつくる方法を研究したいと思いKMDに入学しました。在学中はEmbodiedMediaに所属し、VRゲーム「RezInfinite」の世界観を全身に拡張する「シナスタジアスーツ」プロジェクトに参加しました。EnhanceとRhizomatiksと協業し、体のどこにどのような振動を伝えると人間が心地良くないと感じるのか、全身に振動を伝えるシステムをどのように実現するのかといったことを日夜研究していました。
卒業後はゲーム会社に入社し、現在はゲーム機のシステムソフトウェアやSDK(ソフトウェア開発キット)、周辺機器などの開発に携わっています。KMDで培ったデザインの視点を活かし、どのような体験をユーザーやクリエイターに届けるのかを考えながらエンジニアリングに励んでいます。
(本記事は2024年3月に作成されたものです。)

テック業界へのターニングポイント

ハン ソクジュ

大韓民国

CAREER 2009年4月入学、2011年3月修士課程修了

現在、パリでインターネット企業のヨーロッパ法人の代表として、スタートアップ投資やインキューベータ管理、モバイルサービスのオペレーションなどを担当しています。KMDに入学する前は、韓国の大学で社会学の学位を取得し、大手企業で働いていました。
KMDには2009年に第2期生として入学し、ポリシープロジェクトで、主に民間と公共セクターとの共同プロジェクトに参加しました。複雑な状況を理解し、適切にコミュニケーションを取りながら世の中にリアルなインパクトを与える経験は貴重な機会でした。このような経験はKMDでしか得られないと思います。
(本記事は2024年3月に作成されたものです。)

データとメディア

田村 淳

日本

CAREER 2019年4月入学、2021年3月修士課程修了

地上波の番組やYouTube、ラジオ、イベント出演といったタレント活動をしています。ほかにも、各地での講演、お城の観光大使、jealkbというバンド活動、エンジェル投資、書籍の出版、遺書動画サービスの立ち上げ、キャンピングカー屋さんなど、常に自身の興味の湧くことを実践しているので、活動を挙げたらキリがないです。コミュニティの大切さに気づいてからは、1,000人以上が所属するオンラインサロン「田村淳の大人の小学校」の校長としての活動に力を入れています。
KMDで在学中に学んだ「データの見方、取り扱い方」は特にメディアの仕事をするうえで役立っています。正しいデータは発言に説得力を与えるので武器にもなりますが、一方で改ざんされたデータを使ってしまうとミスリードにもなり得ます。データのソースはどこなのか? 誰かの感情が乗ったデータになってないかと気にするようになり、日々の発言が変化したと感じています。

(本記事は2024年3月に作成されたものです。)

きっかけとしてのKMD

塚越 さくら

日本

CAREER 2017年4月入学、2019年3月修士課程修了

大学でコンピュータサイエンスの学士号を取得後、KMDに入学しました。大学卒業後の進路に悩み、より自由な発想で物事を捉えてみたいという思いを抱いていた私の目に飛び込んできたのがKMDでした。
在学中はNetworkMediaプロジェクトで砂原先生や加藤先生にご指導いただきつつ、SecCapのプログラムにも参加しました。
KMDは新しい扉を開くチャンスを与えてくれる場所だと思います。単純な知識だけでなく、世代やジェンダーを問わないさまざまな属性の人々とのつながり、チャレンジしつづけることの重要性を学ぶことができました。KMDでの経験がなければ今の自分はなかったと言っても過言ではありません。
現在は、KMDで学んだグローバルな視点やコラボレーションの重要性を胸に、セキュリティエンジニアとして日々進化するサイバー攻撃の脅威から会社や顧客を守るために精進しています。
(本記事は2024年3月に作成されたものです。)

遊ぶ・創る・夢を見る

林 暁慧

中国

CAREER  2017年4月入学、2019年9月修士課程修了

大学卒業後、ニューヨークと北京で文化芸術の仕事に携わっていましたが、将来のためにデザイン思考とデジタルスキルを身につけたいと思うようになりました。社会科学のバックグラウンドを持つ私は、アートとテクノロジー、クリエイティビティとストラテジーの交差点に興味があり、KMDのグローバルイノベーション(GID)プログラムを見つけたとき、まさに私が求めていたものだと思いました。在学中は、ロンドンとニューヨークで学び、世界中の最も才能あるデザイナーたちとクリエイティブで特別な経験をともにできました。また、稲蔭教授のPLAYプロジェクトの一員として「白昼夢を現実にする」という実験を繰り返していました。
現在は東京を拠点に、外資コンサルティングファームでフューチャーデザイナーとして働いています。KMDでの経験から学んだ「実践から学ぶ」「ストーリーテリングと遊び心でエンゲージメントを高める」「未来志向とグローバルな視点でリードする」という3つの重要な原則に基き、日々複雑な問題やビジネスプロフェッショナルと向き合っています。
(本記事は2023年3月に作成されたものです。)

多様性とのコラボレーション

前川 マルコス 貞夫

ブラジル

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了/2010年4月入学、2013年3月後期博士課程所定単位取得退学、2016年2月博士学位取得

ブラジルで建築・都市計画を専攻し、12年のグラフィックデザインキャリアがあった私は「デザインは世界をどう変えられるのか」を問い続け、2008年にKMDの第一期生として入学しました。KMD ではGlobal Education に参加し、世界中の教室をつなぐオンラインプログラムをデザインしました。グローバル市民教育に焦点を当てた研究を行うことで、日本や海外の学校、ユネスコなどの国際機関や企業とコラボするきっかけにもなりました。
修士号と博士号を取得後はKMD に専任講師として、GID、CEMS、KMD-Stanford の国際プログラムを5年間担当しました。
現在は、オーストラリアに拠点を置くAPNIC 財団で、研究・教育開発プロジェクトオフィサーとしてアジア太平洋地域のインターネットやインフラ関連のプロジェクトを支援し、日本と本部の橋渡しや、プロジェクト活動のコンサルティングなどをしています。KMD での経験はデザインに関するビジョンを広げ、グローバルな環境で働くために不可欠な多様性の尊重とコラボレーションの重要性を学びました。
(本記事は2023年3月に作成されたものです。)

学生からベンチャーへ

オケラナ ジミー

アメリカ

CAREER  2014年9月入学、2016年9月修士課程修了

工業デザインの知識と実務経験のあった私は、KMDで学ぶことで、創造力がより豊かになりました。充実した施設や、なによりも仲間や卒業生、教授陣のネットワークを活用し、個人として成長することができました。
PLAY プロジェクトでは、稲蔭教授の指導のもと、アート、サイエンス、デザインが融合した、新たなテーマやインタラクティブな技術を探求する機会を得ました。常に学び続ける姿勢に励まされ、生涯の師となる人たちとの出会いがあり、そこでうまれた作品と哲学は今も私の指針となっています。
卒業後は、インタラクティブデザイナー、クリエイティブディレクターとして、日本のスタートアップエコシステムの一翼を担い、東京に制作スタジオを設立し、地域経済の活性化に力を注いでいます。いま、チームを管理しプロジェクトをゼロからつくり上げる立場から言えるのは、KMDでの経験が常に新しい扉を開き、素晴らしいチャンスを与えてくれているということです。
(本記事は2023年3月に作成されたものです。)

国際的なキャリアの始まり

ドレ ロドリゲス、グスタボ

ブラジル

CAREER  2009年9月入学、2011年9月修士課程修了

ブラジルでジャーナリズムの学士号を取得後、KMDに入学しました。在学中は太田先生のもとでイベントプロデュースについて学び、他にも奥出先生の研究されているメディアファニチャーのプロジェクトにも携わりました。
KMD で学んだことを活かして、現在、日本のスタートアップ企業で創業者兼CEO を務めています。人事関連のソフトウェアをつくり、従業員約30名、顧客数は全世界で700社、ユーザー数は40万人に達しました。嬉しいことに増え続けています。
KMD は、私に想像以上の体験を与えてくれた場所であり、私の生活を支えてくれている親友たちと出会わせてくれた場所です。
(本記事は2023年3月に作成されたものです。)

KMDからものづくり教育のデザインへ

村井 裕実子

日本

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了

現在、カナダのブリティッシュコロンビア州にあるサイモンフレイザー大学の教育学部で学習環境デザインや教育テクノロジーについて教えながら、ものづくり教育(Creative Learning)について研究をしています。KMDに入学する前は、社会起業に関する研究室で社会的ミッションがビジネスやアートの力で果たされる仕組みに興味をもち、非営利の音楽イベントがコミュニティに与える影響について研究していました。
KMDでは、大川先生や奥出先生らにご指導いただきつつ、テクノロジーを使ってアートやデザインを学ぶ機会をいかに創出できるかを研究してきました。在学中はとにかく忙しくてカオスな毎日でしたが、振り返ると、領域を超えて問題と解決策を捉えていく思考力と、浮かんだアイデアをとにかくまずは試して、実現していく実行力を鍛えていただいたような気がします。
(本記事は2023年3月に作成されたものです。)

繋がり広がる起点としてのKMD

木下 紫乃

日本

CAREER  2013年4月入学、2015年3月修士課程修了

91年に慶應義塾大学文学部を卒業し、45歳になってKMDに入学するまでの10年間は大企業向け企業研修の設計に携わっていました。仕事を通して日本の大企業における縦割り組織の閉塞感や、いまだ残る年功序列的な組織風土などを見るにつけ、企業において個人がもっと活かされる必要があるのでは、という問題意識を強く持つようになりました。
そのようなとき、KMDに出会い、アカデミアの世界において、その専門領域のなかに閉じず、むしろ外と繋がることで新たな問題解決の方法を見出すことを探求する研究科としての姿勢に強く引かれました。
卒業後は、さまざまな人々のスキルや能力、持ち味を引き出しつなげて課題を解決していくというKMDでの学びをもとに「ヒキダシ」を起業し、企業研修や、あるいはスナックという業態を通してさまざまな人をつなぐハブをつくる活動をしております。世代やジェンダーを超えてさまざまな能力が繋がることの重要性はKMDで学んだ大きなことのひとつです。
(本記事は2023年3月に作成されたものです。)

KMDの旅

ボンソワイ アレキサンドラ

ラオス

CAREER  2008年9月入学、2010年9月修士課程修了/2010年9月入学、2013年9月後期博士課程所定単位取得退学

私は歌手、女優、メディアインフルエンサー兼ビジネスオーナーです。経営しているメディアコンサルティング会社では、 観光や農林業プロジェクトなどを通して政府・団体を支援しています。
オンラインで大学を探しているときに KMDのことを偶然知りました。マネジメント、デザイン、テクノロジー、そしてポリシーという4つの異なる領域に取り組むことができるという点に魅力を感じたのです。KMDではイノベーションと最新 のトレンドや文化、テクノロジーが重視されていて、指導教員の稲蔭正彦教授は、意外性のないアイデアレポートやワークプロジェクトでは認めてくれず、不可能に思える発想ほど評価してくれました。私はこの考え方に出会うことができて本当に幸運でした。
現在、自社で取り組んでいる革新的なプロジェクトの多くにこの考え方を取り入れており、クライアントからも評価されています。KMDでの学びは、常識はずれな発想を実現するための力を得る旅だったのです。
(本記事は2022年3月に作成されたものです。)

学びに年齢は関係ない

許 俊寧

韓国

CAREER  2013年4月入学、2016年3月後期博士課程所定単位取得退学、2019年2月博士学位取得

韓国のサムスンの広告代理店でアートディレクターとして13年間働いていました。その間に日本の広告代理店で研修する機会があり、日本と韓国の広告メディアの変化について勉強する必要があると感じました。
KMDは技術とデザイン思考を融合させた教育カリキュラムによって、今まで経験したことのない学問の世界に導いてくれました。自分の研究テーマを積極的に実現する方法を学んだのです。
2019年に博士号を取得し、現在は韓国の大学でビジュアルデザイン学科の准教授として教鞭をとっています。「広告メディアデザイン」というテーマで学生たちを指導していますが、これは KMD時代から続けてきた研究です。KMDでの経験から、「挑戦するのに遅いことはない」と、学生によく話をしています。
(本記事は2022年3月に作成されたものです。)

人間らしさ

サルセド ナウエル

アルゼンチン

CAREER  2012年9月入学、2014年9月修士課程修了

修士課程では杉浦一徳教授の研究室に所属していました。 KMDで過ごした時間は、なによりも刺激的で特別な学習体験でした。授業外でも、教授ひとりひとりに質問をすることができ、ユニークでとても豊かな自身の経験を親切に教えてくれたことに感謝しています。
杉浦教授は私の目標や能力、不安を理解し、適切なタイミングで適切な環境を用意してくれました。親身につながりをもってくれたおかげで、KMDでの学びは人生のなかで最も実りのあるもののひとつとなりました。
現在は東京アートディレクションスタジオ Onesal(ワンサル)の創設者兼クリエイティブディレクターとして、アーティストや技術者、プロジェクトマネージャーからなる国際チームを率いています。Onesalでは、アマゾン、アップル、ソニー、ユニクロ、デロイトなど、さまざまな先進的なブランドの映像制作やアートディレクションを行っています。われわれのコアバリューは、視覚的なイノベーションを通じ、美しい方法で未来を視覚化することにあります。
(本記事は2022年3月に作成されたものです。)

疑問をもつことを恐れない

ターク ベンヤミン

ドイツ

CAREER  2012年4月入学、2014年3月修士課程修了/2014年4月入学、2019年3月後期博士課程修了

大学を卒業し、社会人経験を経て、現実世界のアプリケーションとコラボレーションに焦点を当てた修士プログラムに参加することを決めました。政治や最先端の技術、メディアに興味があり、影響力のある人々と協力して、社会を発展させるための一歩を踏み出したいと思うようになりました。 KMDでは自主的な学習と制作、ネットワーキング(専門分野外の人々と交流をすること)の重要性を学びました。広い人脈を有する国際的な大学院で学んだ経験は、私のキャリアに大きな影響を与えています。KMD時代に出会った人々とは、 今でも一緒に活動しています。博士号取得後に私を採用してくれた人もいれば、刺激的で新しい研究分野に誘ってくれた人もいます。
現在、オーストラリアのメルボルン大学でヒューマンコピュータインタラクションの研究員として働いていますが、 これもKMDで得た人脈があったからこそ実現したものです。KMDのネットワークを通じてスタートアップの創設者にもなりました。企業や横浜市とプロジェクトを行うなど 実社会での貴重な経験を得るとともに、映画撮影などの実践的なスキルも身につけることができるようになりました。
(本記事は2022年3月に作成されたものです。)

何事にも挑戦する

トーポークラン コムキッド

タイ

CAREER  2015年4月入学、2017年3月修士課程修了/2017年4月入学、2020年3月後期博士課程修了

タイでの学部時代には広告を専攻していました。卒業後、広告代理店で勤めているうちに、「デザインの力でより良い世界をつくりたい」と思うようになりました。その思いを実現するため、KMDに進学したのです。
KMDではグローバルエデュケーションプロジェクトに参加。 デザインとテクノロジーと教育を融合したプロジェクトを通して、多くを学び、挑戦し、貴重な経験を積み重ねることができました。
2020年に博士号を取得後は、LINE株式会社の広告グローバルビジネスプランニングチームに所属しています。ここではプロダクトプランニングや教育プログラムのデザインなどを担当しています。オンラインワークショップのエンゲージメントをより高めるプログラムをつくるときには、KMDでの経験を活かすことができました。その他の製品を企画するときにも KMDで学んだプロジェクトマネジメントスキルは大いに役に立っています。KMDで挑戦したことは確かな力となっており、今後も新しいことに挑みつづけていきます。
(本記事は2022年3月に作成されたものです。)

なぜか研究者に

安 謙太郎

日本

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了/2010年4月入学、2013年3月後期博士課程修了

私は KMDの設立年に入学し、2010年に修士号、2013年に博士号を取得しました。KMDでは都市メディアとリアリティメディアプロジェクトに参加していました。卒業後はシンガポール国立大学で研究員として働き始め、2016年からはNTTの研究所にてHCI研究に従事しています。
KMDの初代学生たちは多様な個性と才能を持っていて、プログラミングやプロトタイピング、ビデオ編集、プレゼンテーション、英会話など、彼らから学んだことは今でも私を支えてくれています。私はもともと研究者になるつもりはなく、新しいものをつくりたいという気持ちと同期からの 影響でいつの間にか研究が仕事になっていました。最近、私の研究をベースにした製品が発売されました。自らの研究が少しでも世界を変えられていると信じています。
(本記事は2022年3月に作成されたものです。)

別の旅に導かれても、やれる限りを尽くそう

ヤオ アミ

アメリカ合衆国

CAREER  2009年4月入学、2011年3月修士課程修了

私は常にメディアとマーケティングに情熱を注いできたので、大学ではマスコミュニケーションを専攻し、学部卒業後にKMDに進学しました。当時はマーケティング以外の業界でキャリアを追求するとは思ってもいませんでしたが、興味深いことに、東京のデジタルベンチャー企業で投資アソシエイトとしての最初の仕事に就きました。世界に影響を与えるアイデアを持つ日本と海外両方のイノベーターと仕事をしているうちに、意外にも金融に興味を持つようになりました。最終的に転職を決意し、ブルームバーグ東京の業績予想データアナリストとして入社し、働き始めて7年になります。現在、日本、韓国、オセアニアの市場をカバーするクライアントサービスチームを率いています。ブルームバーグシステムを通じて、価格やリサーチなどの金融データを正確にそしていち早くユーザーに提供すること、そして価値のある新しいデータを取得・利用・ユーザーへの提供をできるようにしています。KMDでの2年間は、興味のあることだけに固執するのではなく、周りのすべての機会にオープンであることを教えてくれました。オープンマインドを持つことで、想像しているよりもはるかに有能な人になることができます。
(本記事は2021年3月に作成されたものです。)

デザインは無限の機会を与えてくれる

プン・ラタナバンチュン

オーストラリア

CAREER  2013年9月入学、2016年3月修士課程修了

学部時代に映画とTVを専攻していた私は、映画製作会社でのインターンシップを始めて間もなく、変化の激しい世界に対応するためにはキャリアパスを多様化する必要があることに気づきました。 KMDは、デザイン思考とCEMSプログラムを通じて、自分が今までやってきたことをビジネスの世界と結び付けてくれました。CEMSでは、世界中からたくさんの素晴らしい仲間に出会い、挑戦的だけど楽しいプロジェクトを通して共に学び、とてもやりがいのある経験ができました。
現在、スイスを拠点とするスポーツブランドOnで、戦略販売、市場投入製品の計画、モバイルプラットフォームの開発に携わっています。今は、パンデミック時のセルインを改善するための法人向けモバイルプラットフォームを構築するプロジェクトに取り組んでおり、約束したミッションを達成するために、デザイン思考によるアプローチを頻繁に行います。まさしくKMDで学んだことが役立っています。
(本記事は2021年3月に作成されたものです。)

情熱はイノベーションを駆り立てる

ヤメン・サライジ

シリア

CAREER  2013年4月入学、2015年3月修士課程修了/2015年4月入学、2018年3月後期博士課程修了

「探検、学び、創造」は、過去10年間の私の人生のテーマです。 2010年にシリアでコンピュータサイエンスの学士号取得後、ロボット工学とVRについて学ぶことに興味を持ち日本の大学院に進学しました。 KMDは、テクノロジーとデザイン思考の両方を融合させた優れた教育環境であり、純粋な工学科にはないアプローチでした。 2015年に修士号を、2018年に博士号を取得した後、特任講師として2年間KMDに在籍しました。
2020年4月、ビジネスと展開の世界を探求するために、東京のスタートアップ企業であるAvatarIn Inc.に入社し、サービス指向アバタープラットフォームの開発を主導するディレクターをしています。このプラットフォームはKMD時代の研究でフォーカスしたものです。私たちは、コミュニケーションの媒体を再構築し、サービスアバターの大規模なネットワークを展開する上で大きな一歩を踏み出すことを目指しています。
(本記事は2021年3月に作成されたものです。)

始まりの場所

廣井慧

日本

CAREER  2009年4月入学、2011年3月修士課程修了/2011年4月入学、2014年3月後期博士課程修了

KMDに入学したばかりの私はやりたいことはぼんやりとあるものの、実現方法もわからず、その内容や魅力を他人に説明することも難しい状態でした。KMDでは、NetworkMedia projectに入り、多くのイベントを経験し、様々な分野の人と関わる機会をいただきました。KMDに入って一番良かったことは、人生を切り拓く選択肢が増えたこと、物事を根本から考え直し、わくわくするような形に作り上げ、自分で実現する方法を教わったことです。
現在、私は京都大学防災研究所で准教授として働き、防災・減災を実現するシステムや解析技術の研究開発をしています。私にとってKMDは自分が何をしたいのかの芽を育て、実現する力をつけてくれる場所でした。この経験は今でも大いに役立っています。私や多くのKMD出身者と同じく、KMDを希望する皆さんにもKMDでの経験が将来の活躍につながることを願っています。
(本記事は2021年3月に作成されたものです。)

ITエンジニア→KMD→宇宙開発

橋本 真太郎

日本

CAREER  2014年4月入学、2016年3月修士課程修了

宇宙航空研究開発機構で数理最適化、宇宙機設計、セキュリティの研究、並びに新事業の立ち上げ等の業務に幅広く従事しています。一見、KMDの延長線上にはないキャリアだと思われるかもしれません。私は小学生からウェブの受託開発を始め大学生で投資を受け起業、新たなメディアの創造を志しKMDに入学しました。しかし、そこで興味を持ったのは培ってきたウェブ開発のセキュリティでした。これは大きな方針転換でしたが、教員らはそれを歓迎し一線で活躍する専門家との人脈形成や慣行では他分野の教員がつくところ工学系教員2名による指導等の支援をして下さりました。そこで研究の楽しさを知り現職に至る訳ですが、ここにKMDの多様性があると私は愚考します。現職でVR事業を提案した際もKMDの教員が協力して下さり実現にまでこぎつけられたことがあります。このように在学時は無論、卒業後も多様性を持って接して下さるのがKMDだと思います。
(本記事は2021年3月に作成されたものです。)

コト起点のイノベーションをつくる方法

折笠 舞

日本

CAREER  2015年4月入学、2017年3月修士課程修了

慶應義塾大学SFCでプロダクトデザインやブランディングを学び、価値が見出されていない分野をデザインの眼差しで捉え直す面白さを知りました。学部生時代に携わっていた義足や身体拡張をキーワードに、KMDへ進学。スポーツクリエーションという新しい文化・コミュニティを創るリアルプロジェクトに取り組んでいました。
イノベーションは、ものづくりが起点だと思いがちですが、人と人が繋がったり、目に見えないカルチャーが芽生えたりするその瞬間にも確かに存在する、と気づかせてくれたのがKMDです。
現在は寝具メーカーにフィールドを移し、「眠り」を仕事にしています。ものを生み出すメーカーでありながら「眠ること」を再定義するべく、マーケティングや商品戦略に携わっています。睡眠コンサルティングの拠点づくりから、デジタル技術を駆使したスリープテックの企画、アスリートのコンディショニングといった切り口まで、生活者と眠りの接点を「消費」だけに留めないビジネスの現場で、KMDでの学びを日々実践しています。
(本記事は2020年3月に作成されたものです。)

良いデザインを良いビジネスにする

實方ボリス

ドイツ

CAREER  2012年9月入学、2014年9月修士課程修了

高校生のとき、デザインを学んでも将来高給を取るのは難しいから、デザインの勉強はするなと皆に言われました。そのため学部では経営学を学びました。その後まもなくビジネスとデザインを組み合わせることが一般的になり、いまでは両方を分けて扱うことは不可能です。
KMDに入学したとき、慶應はCEMSに加盟したばかりで、デザイン系の研究科が加盟するのは初めてのことでした。2年間で国際経営学とメディアデザイン学両方の修士号を取得し、起業したてのデザイン会社、グッドパッチに加わりました。
それから6年半、グッドパッチは日本で大手のデザイン会社に成長し、世界中に170人を超える仲間がいます。現在私は執行役員として、ベルリン、ミュンヘン、パリを拠点としたグローバルビジネスを監督しています。クライアントがデザインを通じてビジネスを成功・発展させるサポートをしています。KMDで体感した、皆が何かを創造し、自ら手を動かし、共有しあうというインスピレーションに溢れた雰囲気を社内で再現していくことを目指しています。
(本記事は2020年3月に作成されたものです。)

イノベーターが生まれる場

米良はるか

日本

CAREER  2010年4月入学、2012年3月修士課程修了

「なんでもいいからとりあえず行ってこい!」KMDの指導教官だった古川先生から言われた言葉です。KMDに入学したばかりの4月末、私はシリコンバレーに一週間滞在する機会を得ました。そこで、世界中の素晴らしい起業家たちにお会いすることができました。未来の可能性を作る起業家というプロフェッショナルに魅了され、私もシリコンバレーで何かを作る人間になりたい!そんな気持ちが溢れてきました。そこで日本に帰国したばかりの私は、私を入学試験で面接をしてくれた古川先生に、シリコンバレーのスタンフォードに留学して学びたいという旨を伝えたところ、先生からは冒頭の言葉を言われました。それから、半年後KMDに戻った私は、日本初のクラウドファンディングREADYFORを立ち上げ、今では120名ほどの会社に成長しました。READYFORのビジョンは「誰もがやりたいことを実現できる世の中にする」というものです。私が新しい挑戦をしたい!といった時に、その背中を押してくれ、実現に導いてくれたKMDを私はとても感謝しています。
(本記事は2020年3月に作成されたものです。)

ヤバい人たちとヤバいものを作る

油木田 大祐

日本

CAREER  2015年4月入学、2017年9月修士課程修了

大学では情報工学を専攻していましたが、どう実現させるか、どう精度を上げるかという工学の考え方と同じくらい、何故その問題を解決する必要があるのか、何を作るべきなのかということに興味がありました。そうした中でGIDプログラムを知り、KMDに入学しました。GIDは、世界中のヤバい人たちとヤバいものを作ることに没頭できる贅沢な日々で、その楽しさに興奮しっぱなしでした。KMDに戻った後も、KMDの仲間たちと共に狂ったようにありとあらゆるモノづくりに励み、時に自分たちの無力さに落ち込みながらも、いかにデザインを通して誰かを幸せにできるかをひたすら考えていました。
現在はIDEOでインタラクションデザイナーとして働いていますが、本質的にやっていることはその頃と何一つ変わっていません。多才な同僚達と共に、何を何故作るのか、ということをクライアントと共に考え抜き、それをあらゆる手法でプロトタイプし形にする日々です。KMDで学んだ「つくる喜び」は僕の生きる糧であり、一人でも多くの人にその喜びを伝達することが僕の使命です。
(本記事は2020年3月に作成されたものです。)

旅の始まり

周 家惠

中国

CAREER  2014年9月入学、2017年3月修士課程修了

学部時代の専攻はケミカルエンジニアリングでしたが、ほどなくシステム思考に強い関心を持つようになりました。ちょうどその頃渡米先でデザイン思考に出会い、世界中から来た学生と共通の価値に向かって取組む際に生まれる不思議な力に魅了されました。デザイン学修士号を取ろうと決めたとき、今までにない領域を学べるところを探し、KMDに入りました。
KMDでは、多様な価値観を持つ人たちと協働することで、多様性に取り組み、複雑性を対処する術を学びました。また、GIDプログラムでロンドンとニューヨークに滞在し、伝統的な職人技とスペキュラティブ・デザインを対比させることで、デザインの視野が広がりました。
現在は戦略デザインファームにおいて、大手日本企業のユーザエクスペリエンス最適化、新規ビジネスの展開、将来像のプロトタイプ制作のサポートをしています。複雑に満ちていると同時にワクワクします。KMDで得た貴重な体験のおかげで、日々直面するさまざまな課題に自信をもって取り組み、前進し続けることができています。
(本記事は2020年3月に作成されたものです。)

0→1の打率を上げる、打球を伸ばす

小林百絵

日本

CAREER  2010年4月入学、2012年3月修士課程修了

慶應義塾大学のSFC在学時、0から1を生み出すコンセプトデザインの楽しさを知り、熱中しました。コンセプトデザインの数をこなしていく中で、自分が納得できたり、人に評価されるものを生み出せることはごく稀で、まさに「偶然の産物」でした。
どうしたら偶然ではなく、もっとその打率を上げられるのか。そんなことを悩んでいたときに「デザイン思考」を知り、KMDを知りました。
KMDでは、多種多様な視点や経験を持った人たちと一緒に0→1に挑戦することで、たくさんの刺激を受け、打率を上げるための訓練を積むことができました。また、デザイン思考という「型」を学べたこともとても大きく、頭ではなく、自分の身体感覚に素直になって、アウトプットを生み出せるようになりました。
そして今、卒業し、広告代理店を経て、「DAYLILY」という漢方のライフスタイルブランドをはじめました。KMDで出会った台湾出身の王怡婷さんと一緒に起業し、アジアを代表するブランドになれるよう日々、奮闘しています。今後は、打球をより遠くまで伸ばしていくことに挑戦していきたいと思います。
(本記事は2019年3月に作成されたものです。)

社会で実践し、地域活性の成果を共有する

大江 貴志

日本

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了

私は外資系コンサルティング会社、大手家電メーカーにてITを使った業務改善、生産改革のプロジェクトを担当したのち、KMD1期生として社会人入学しました。在学中は政策提言集団「ポリシーウォッチ」の活動支援を通じて政策と産業の関係性を研究する一方で、テクノロジーやポリシー、デザインなど様々なバックグラウンドを持つ教授陣やメンバーと議論しながら詳細なテーマを設定。リアルプロジェクトを通じたプロトタイピングでは実社会により近い形で検証プロセスを回すことが出来ました。
現在は、引き続き研究員として「産業・文化の活性による地方創生」をテーマに「工芸みらいプロジェクト」などを運営。学術研究だけでなく、実際に自ら事業継承や起業を行いながら実証に取り組んでいます。活動拠点の一つである福井県鯖江市にはサテライトオフィスを開設し、漆器などの伝統工芸品や眼鏡の市場創造アプローチを研究。伝統の塗装技術と近代の生活シーンを融合させた漆タンブラーやiPhoneケースなどを企画、「作りたい」だけでなく「売れる」ものづくりを現地の職人と共に実践しています。
(本記事は2019年3月に作成されたものです。)

自己改革の場

フェリペ・ポンテス

ブラジル

CAREER  2014年9月入学、2016年9月修士課程修了

3つの目標を定め、KMDに入学しましたー転職、異文化の体験、そして国際環境における仕事の仕方を学ぶことです。幸運にもすべての目標を達成することができました。ブラジルではジャーナリズム学を専攻した後6年間雑誌記者をしていましたが、時間の経過とともにモチベーションを保つためには転職が必要だと感じるようになりました。内心ではサービスデザイナーになりたいと思っていたのです。
もちろん簡単なことではありませんでした。サービスデザインは新興分野であるため、直接的もしくは間接的に学べる学校を探すのに苦労しました。しかしながら偶然にもKMDのことを知り、夢をかなえる手助けとなることを確信しました。KMDには日本政府の奨学金を得て2014年から2016年まで在籍しました。在籍中の2年間で、サービスデザインに関する論文を発表し、この分野において信頼できる専門家となること、そして日本でのビジネスの仕方について学びました。
卒業後は東京に拠点を置くコンサルティング会社、株式会社ニューロマジックに入社し、共同でサービスデザイングループを立上げました。設立して間もない部門ですが、すでに大手日本企業数社と取引をしています。デザイン思考の手法を使った短・中・長期のコンサルに特化し、クライアントがより良い製品・サービスを生み出す手助けをしています。この他にも企業や大学に対し、サービスデザイン分野についてのレクチャーを頻繁に行っています。習得した知識を実践に移すことは楽しいものです。KMDの熱い教授陣と素晴らしい環境に感謝しています。
(本記事は2019年3月に作成されたものです。)

実業と結びつけながら研究ができる場

藤川真一

日本

CAREER  2013年4月入学、2017年9月後期博士課程修了

長らくWeb業界で開発エンジニアとして働いてきましたが、自分でWebサービスをデザインする思考力をつけたいと思い、大学院進学を考えていました。運営していたWebサービスを売却したことをきっかけとして、KMDの博士課程に入学することになります。
現職のBASE株式会社は、無料でネットショップを運営できるBASEというプラットフォームを提供していますが、KMD在学中に取締役CTOとしてジョインしました。エンジニアの採用に力を入れていることもあり、研究ではGithubというエンジニアが使うSNSを元にしたエンジニアスキルの信用スコアを出す研究として論文を書くことになりました。近年、ネットを通じた信用スコアは注目されており、研究で得た知見は日常の仕事にそのまま生かしています。
マネジメントにおいても先生方の指導スタイルを参考にさせていただいており、個々の問題を部下に任せてアウトプットをレビューする指導スタイルは、物事をしっかり考えてもらう方法として学びました。このように自分の仕事に影響を与えられるのは社会人学生の特権としてKMDを楽しんでいました。
(本記事は2019年3月に作成されたものです。)

デザインの追求、定義、そして実践

ニヤ・カビール

カナダ

CAREER  2012年9月入学、2015年3月修士課程修了

2012年秋にKMDに入学する前は、トロント大学で人間とコンピューターの相互作用について専攻していました。卒業後はパートタイムで教授の補佐をしながら、ビジネスにおけるデザイン事例についての研究もしていました。というのも外国人留学生やアントレプレナーとの交流を通して、国際的な視点からデザインを研究し合成手法を追求するようになりました。以前からグローバルに活躍するデザイナーになりたいと思っており、国境を越え、異なる文化的・社会的背景において、問題を精査し機会を評価するのに必要なスキルを習得したかったのです。
“どうしたら欧米中心の固定概念を打ち破り、国を越えて柔軟に考え、理解するに至るのか?”
“どうしたら社会にインパクトを与えるデザインを具現化するために必要なスキルとツールを得られるか?”
と常に自分に問いかけていました。
そしてこれらの問いかけがきっかけとなり日本で修士を取ることを決意したのです。
KMDに入学したことにより、いくつもの門戸が開かれました。そのひとつは、GIDの第1期生としてプログラムに参加したことで、いままでとは異なるデザインメソッドを学ぶことができ、多種多様のスキルを持ち合わせた人と協働して研究活動を行う機会を得ました。
修士課程修了後は、Slush Tokyo (Slush Asia) 立上げの一員として、チェンジメーカーや業界のキープレーヤー、そして種々のコミュニティビルダーに声をかけ、スタートアップエコシステムを確立しました。Slushにいた4年間は新興企業やチームとともに事業のニーズを満たすデザインを提案するフリーランスの仕事もしていました。その後1年間ベンチャーキャピタル企業で働く経験を経て、再びデザイン会社に戻りビジネスにおけるデザイン事例に取り組みました。
現在は、スタートアップエコシステムのさまざまなステークホルダーのデザインパートナーを目指しN. A. K. Studiosという会社の立上げにかかわっています。ビジュアル以外の方法でデザインがビジネスにインパクトを与える可能性について協業して事例をつくることを目的としています。デザイン手法の進化と、数多くのツールが編み出されたことで、あらゆる問題を解決したり機会を発見したりすることが可能になりました。N. A. K.は創設者や新興企業とともに、現在の状況のもとで最良のデザイン事例を創っていく存在になりたいと思っています。
(本記事は2019年3月に作成されたものです。)

アーティストとして生きていく力

ながしまみのり

日本

CAREER  2010年4月入学、2012年3月修士課程修了

私はアーティストとして、音楽とアートの世界で活動しています。音楽の領域では作曲・編曲のほか、キーボーディストとしても多くのライブに参加しています。最近では東京コレクションのファッションショーの音楽を制作しました。また、「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」をはじめ、さまざまな作品制作の経験を活かし、フリーランスのディレクターとしてアート作品や展示のディレクションも行っています。
学部では音楽を専攻していましたが、自分のスキルを使って生きていく方法を身に付けるためにKMDに入学しました。KMDは何かをつくるだけでなく、社会でどう活用していくかまで実践して学べる場所です。KMDでの経験が、作品を構想し、実際に制作し、そして世の中に展開していく力につながっています。ひとりのアーティストとして、作品制作はもちろん、契約やマネジメントまですべて自分で管理しています。あらゆることを多角的に捉える力があれば、何かに縛られることなく、自分自身の力だけで自由に生きていくことができます。

(本記事は2018年3月に作成されたものです。)

研究や起業を通して、アイデアを社会に実装する

奥出えりか

日本

CAREER  2011年4月入学、2013年3月修士課程修了

KMD入学前は、慶應義塾大学環境情報学部でインタラクションデザインを専攻していました。卒業制作では雨粒の落下位置を水面でセンシングして波紋の映像を投影するインスタレーションをつくりました。その経験を踏まえ、より広い視点で日常に潜む問題に取り組み、アイデアを実社会に送り出す力を付けたいと思ったことがKMD進学の動機です。KMDでのテーマはデジタル時代における子育て写真の撮影・閲覧経験の創出でした。深いエスノグラ
フィーをもとに対象に寄り添ったコンセプトを設計する力を身に付けられたと思います。
卒業後は美大出身の友人とデザイン会社を起業してTetra Styleというキャラクターブランドを立ち上げたり、乙女電芸部という活動でワークショップを行ったりしています。最近始めたプロジェクトには、「しっぽコール」という女性向けスマート防犯ブザーがあります。安心・安全をデジタル技術で確保する今までにない魅力的な商品として世に出すべく、デザイン思考のプロセスを回しながら開発に取り組んでいます。

(本記事は2018年3月に作成されたものです。)

次代のイノベーションを目指す産学連携の実践

竹居直哉

日本

CAREER  2011年4月入学、2017年3月後期博士課程修了

「成熟した企業が次なるイノベーションを起こすにはどうすればいいのか」という問題意識を持ってKMDに入学しました。メーカーで開発業務に携わっていたことからそのような疑問を抱くようになり、デザイン思考という手法に興味を持ったのです。入学後は中西金属工業という安定した技術力を持つ企業が次なるイノベーションを生み出すためのプロジェクトに立ち上げから携わりました。4年間かかりましたが、2018年にはagbee(アグビー)という都市近郊農家の役に立つ相棒ロボットを介したサービスを事業化するというところまで来ました。事業化においては、まず何をするのか、つまり0から1をつくるという問題と、1を10、さらには100にするという全く違う問題に直面します。こういった問題にリアルに取り組めるのはKMDだからこそであり、先生方のサポートがあるからです。
現在はこの経験も活かしながら、さまざまな企業でのイノベーション創出のサポートをしています。KMDに来るきっかけとなった問題意識に実践で取り組む充実した日々を送っています。

(本記事は2018年3月に作成されたものです。)

共創の場

河野祐子

日本

CAREER  2011年4月入学、2013年3月修士課程修了

現在、ハーゲンダッツ ジャパン株式会社のマーケティング本部に所属しており、商品開発をしています。KMDでは、文系と理系といったバックグラウンドの違うもの同士の共創を掲げていますが、今も仕事を通してその大切さを痛感しています。1つのフレーバーを作るのには約2年ほど時間を要します。良いコンセプトとプロトタイプが出来たとしても、工場で実際に生産出来なければ意味がありません。理想と現実を結び合わせ、実現へ向けてプロジェクトを進める過程は、文系的要素と理系的な部分の共創とバランスが不可欠です。
私は2年間の社会人生活を経て、企業ブランディングやマーケティングについて改めて学びたいと思い、KMDへ入学しました。在学中は、Creating Shared Value(企業の事業に直結した戦略的なCSR)を中心に研究を行いました。日系企業のドメスティックな環境から、今までに出会ったことのないユニークで刺激的な人達がたくさんいる、真逆の環境に飛び込んで、当初は苦労もありましたが、その経験は今では財産となっています。一流に学べ!という表現がありますが、KMDはまさに各業界の第一人者の方から、直接学びを得られる素晴らしい場所だと思います。

(本記事は2018年3月に作成されたものです。)

研究と産業をつなぎ、人々の生活を変える

チャリス・フェルナンド

スリランカ

CAREER  2008年9月入学、2010年9月修士課程修了/2010年9月入学 2013年9月後期博士課程修了

電子工学、コンピューターサイエンス、ロボット工学を学んだ後、2008年にKMD一期生として入学しました。修士課程ではReality Mediaプロジェクト、博士課程ではEmbodied Mediaプロジェクトに所属していました。KMDで学んだのは、文化や専門分野の異なる仲間とのチームワークの大切さです。また、日本語やプロダクトデザイン、アイディアの売り込み、プレゼンテーションのスキルも磨くことができました。博士課程修了後は自らを次のレベルに上げるため、特任講師としてKMDに着任しました。研究と産業をつなぐ第一歩として、KMD内外でテレイグジスタンスプロジェクトを牽引し、4年後には自らの研究を軸に、夢であった起業をしました。
現在はTelexistence株式会社 (https://tx-inc.com/)の代表取締役、最高技術責任者(CTO)として、テレイグジスタンス技術を産業化し、人々の生活、組織、また社会を劇的に変えたいと思っている才能豊かなエンジニアリングチームを指揮しています。Telexistence株式会社の目的は、人の移動にかかるコストと実際にその場に人がいるというコストを減らし、ビジネスチャンスを生み出すことです。KMDから得たものは多く、いつかKMDとコラボレーションをしたり、自らの資産でKMDをサポートとしたいと思っています。

(本記事は2018年3月に作成されたものです。)

デザインとテクノロジーの交差点に立つ

キム・フイスン

韓国

CAREER  2010年4月入学、2012年3月修士課程修了

現在ソニーで、次世代プロダクト創出に向けたコンセプトデザインおよびインタラクションデザインに従事しています。直近の活動の1つとしては、「Motion Sonic Project」というプロジェクトを立ち上げ、世の中に公開しました。
このプロジェクトでは、身体運動を音で拡張する身体経験メディアのデザインに挑んでおり、人と音の関わり方をリデザインすることで、新しい音体験を世の中に提供し、社会にインパクトを与えることを目指しています。
KMD入学以前は、情報工学を専攻しエンジニアリングを学びましたが、「もっと人々を魅了する体験価値を創れるようになりたい」という想いを抱き、KMDに入学しました。
在学中は、家具をメディアとしてリデザインするMedia Furnitureプロジェクトに取り組む中で、エスノグラフィー調査とプロトタイピングを繰り返しながらコンセプトと体験を具現化するデザインスキル、および実社会へ価値を伝えるためのプレゼンテーション力が身に付いたと思います。
ここでの経験が、今、私がデザインとテクノロジーの交差点に立ちクリエイションを行う上での土台となっています。

(本記事は2017年3月に作成されたものです。)

学びと発信すること、楽しむこと

上保浩美

日本

CAREER  2013年4月入学、2015年3月修士課程修了

KMDでは、Global Education Project で「“教えたい”人がITを介して集い、共に学び合う場を創る」という研究に取り組んでいました。
アジアを中心とした多拠点ワークショップやオンラインプラットフォームの構築、そしてプ ロジェクトメンバーとの触れ合いを通じ、年齢や国を超えた「つながり」の素晴らしさに胸が熱くなった瞬間を今でも鮮明に覚えています。
現在は、様々な「つながり」を実現するネットワーク技術の重要性や可能性を、もっと多くの人々に感じてほしいと、人材育成・研修サービスの会社でネットワーク関連の研修講師として教鞭をとっています。
様々な背景を持つ受講者 を相手に研修を担当するたびに、「どうしたらわかりやすいか、楽しく伝えられるか」を強く考えています。研修開始時の受講者の険しい表情や退屈そうな顔つきが、閃きや納得で明るく変化していく様子は、私の学びの活力です。
常にアンテナを張って学び続けること、学びは外に発信すること、そしてみんなで楽しむこと。KMDでの学びや出会いはすべて、私の今につながっています。

(本記事は2017年3月に作成されたものです。)

「縁」こそが、最大の成果

高橋竜之介

日本

CAREER  2010年4月入学、2012年3月修士課程修了

現在、一般社団法人CiP協議会の事務局長を務めています。CiP協議会は、東京都・竹芝地区で2020年に完成予定の再開発事業に伴い、同地区にデジタル×コンテンツの産業集積地をつくるというミッションを担っています。私は、事務 局長として、プロジェクトの実現に向けて、CiP協議会の会員を含む産・官・学の各方面との折衝や議論に追われる日々を過ごしています。
KMDでは、通信放送政策を研究テーマとしていました。KMDは、デザイン、テクノロジ、マネジメント、ポリシーの4つの系列が配されていることもあり、本来同じ課程で括ることができない多様なヒトや研究テーマが一堂に会します。この環境は着眼点や発想においてとても刺激的でした。また、KMD外でも、様々な分野の第一人者の方々と交流できる機会を得ることができました。
KMDで得た最大の成果は、研究活動を通じて得ることのできた縁だと思います。CiP協議会でも、その縁を頼って活動しています。
KMDで得たものを活用して実現させる竹芝にご期待ください。

(本記事は2017年3月に作成されたものです。)

コラボレーションの力

杉浦裕太

日本

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了/2010年4月入学、2013年3月後期博士課程修了

KMD1期生として飛び級で入学し、博士号を取得した後、特任助教になりました。KMDでは、Reality Media Projectで、居住環境に適した生活者の行動計測システムやディスプレイを開発しました。
工学系の学部出身だった私は一人でモノづくりをすることが多かったのですが、KMDでは、バックグラウンドが異なる仲間と、お互いの専門性を活かして「コラボレーション」をしながら開発する機会が増え、一人だけでは制作困難だったモノを生み出すという経験ができました。
また国籍豊かな環境で必然的に留学生とのコミュニケーションが増えたため、入学当初苦手意識を持っていた英語での会話も、卒業するまでにはある程度できるようになりました。
現在は慶應理工学部の情報工学科で助教をしています。そこではKMD在学時代に重要性を認識した「コラボレーション」を研究対象とし、今度はそれをテクノロジで支援してみようと思い、今は複数人が協調して空間設計ができるバーチャルリアリティや、IoTの研究に従事しています。

(本記事は2017年3月に作成されたものです。)

走りながら考える

國友美希

日本

CAREER  2013年4月入学、2015年3月修士課程修了

私がKMDで学んだことは、「物事の本質を見極め、自分のやるべきことを考えること」「自分次第でどんなことにでもチャレンジできること」でした。
在学中は、ネットワークメディアプロジェクトでAR技術を利用した情報機器管理システムの研究に取り組んでいました。入学以前はデザインを専攻しており、全くテクノロジの知識が全くなかった私ですが、KMDをきっかけとして出会った様々な人々のお陰で、知識を身に付けながら研究を進めることができました。
KMDにはたくさんの人とのコラボレーションの機会があります。その中で物事の本質を捉え、自分がやるべきこと、自分にしかできないことを考える。考えたことをまずは実行していく。この2つの重要性を学びました。KMDが、わからなくても走りながら考えることができる環境であったからこそ、このことに気づくことができたのだと思います。
卒業した現在、通信業界でシステムエンジニアとして活動する中でも、この学びが自分の根幹となっています。

(本記事は2017年3月に作成されたものです。)

日々の仕事の原点

グスタボ・ドレ・ロドリゲス

ブラジル

CAREER  2009年9月入学、2011年9月修士課程修了

現在、株式会社モティファイの取締役を務めています。モティファイは、ヒューマン・リソース・テクノロジーのパイオニアとして、ハビットデザインに基づいたeラーニングシステムを活用し、企業内のリーダー育成や社員が互いの能力を高め合うことのできる環境づくりの支援を行っています。
私のチームには、日本、ブラジル、ウクライナ、アメリカ、スウェーデンなど世界中の様々な国から12名のメンバーが集まっており、現在もその多様性の輪は広がっています。
KMD入学以前は、母国ブラジルでマーケティングの仕事に就いていました。KMDの存在を知り、それまで目を向けてこなかったテクノロジー分野について学ぶための大きなチャンスだと感じました。
KMDでは、私の人生で最も刺激的で、また最も充実した2年間を過ごすことができました。入学当初は、前職ともつながりのあるイベント制作のプロジェクトに関わっていましたが、その後OIKOSプロジェクトでMedia Furnitureのチームメンバーになりました。このプロジェクトで学んだプロダクト/コンセプト・デザインによる制作プロセスは、今でも日々の仕事の基本となっています。
日本で暮らした8年の間に、ソニーでのVAIOの企画や、リクルートでのUXデザインの制作に携わりました。自分のキャリアを見直す際には、いつもKMDの先輩が親身に相談にのってくださいました。KMDで得た知識や人との結びつきが、今の私の原点となっています。

(本記事は2017年3月に作成されたものです。)

学び続け、実践し続けること

木下紫乃

日本

CAREER  2013年4月入学、2015年3月修士課程修了

現在、昭和女子大学が開講した社会人女性向けビジネススクールの設計や運営を、女性のエンパワーメントの一環として行っています。その他、新しい人材育成システムの設計や、若年層ための新しい教育、女性の世代を超えたネットワークづくりなどをテーマに、有償無償の様々な組織やプロジェクトに関わっています。その中で一貫する軸は「挑戦しようとする人や組織を支援する」こと。領域の異なるプロジェクトに並行して関わる中で、全体として何が課題なのかを俯瞰し、自分がどう貢献できるかを真剣に考え続けながら働ける今のスタイルをとても気に入っています。
KMDに入るまでは大企業の人材育成コンサルの仕事に携わっていました。KMDでは年齢、国籍、性別の異なる様々な仲間と学び、自ら実践する教授陣の薫陶を受け、それまでとは全く違う規模で視野を広げ、異なる領域を繋げる必要性や、新しい時代における影響力の発揮の仕方や学び方を体感し、それを今の生き方、働き方で実践しています。私達を取り巻く環境は加速度的に変化しています。私は現在40代後半ですが、年齢に関わらず、学び続け、実践し続けることだけが21世紀を生き抜く力だということもKMDで学びました。

(本記事は2016年3月に作成されたものです。)

必要なものは自分で創る

村井裕実子

日本

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了

KMDでは、Global Education Projectで、オンラインで行われるさまざまなコースやイベントの設計・運営に取り組み、修士研究では、遠隔地で舞台芸術を学ぶ学生たちによる共同パフォーマンス環境の構築を行いました。現在は、米国コロンビア大学で遠隔教育に関するオンラインの授業を教えるなど、いろいろな科目のオンライン授業の運営に関わりながら、遠隔コミュニケーションと学習環境に関する研究を進めています。オンライン学習者のつながり意識と内発的動機の発達に関する博士論文を提出し、2015年の5月に博士号を取得しました。近年、オンライン学習の機会はますます増えていますが、遠隔地で学習を進めるのは、ときに孤独であり、さまざまな困難を伴います。そのような学習者を支えるアクティビティやコミュニケーション環境を提供すべく日々活動しています。KMD第一期生として、先生や様々な背景を持つ学生たちと共に、自分たちに必要な学習・研究環境づくりからプロジェクトの立ち上げまでを行う体験をしました。この「必要なものは自分で創る」という習慣は、教育学部という、KMDとはかなりアプローチの異なる環境に移った後も貴重な財産になっています。

(本記事は2016年3月に作成されたものです。)

KMDにもらった魂

太田智美

日本

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了

現在、朝から夜まではアイティメディアという会社で記者を、夜から朝までは個人の活動としてマイクロマウスの勉強やロボット「Pepper」との活動をしています。Pepperとの活動では、自分でプログラムを組んでPepperと納豆を混ぜたり、歌ったり、踊ったり、新幹線に一緒に乗ったりし、「pepper days」というチャンネルで毎日YouTubeに投稿しています。最近では、日本全国のSFファンが集う「日本SF大会」や、官民が連携して日本の文化や技術を世界に発信する「PRESENTING JAPAN」などのイベントで、「ロボットパートナー」としてロボットとの暮らしについて話したりもしています。
日本には「三つ子の魂百まで」ということわざがありますが、私はそのうちの1つの魂はKMDからもらったように思います。まっすぐであること、自分のコア・コンピタンスはどこにあるかということ、技術の周りには必ず社会のデザインやポリシーがあり、それを創るのは自分だということ、今の活動の全てはKMDの魂からきています。KMDに入って、私にはお父さんが増えました。そして、KMDでつながった友だちが世界中にいます。

(本記事は2016年3月に作成されたものです。)

起業へと導いてくれた貴重な体験

サルセド・ナウエル

アルゼンチン

CAREER  2013年9月入学、2015年9月修士課程修了

アルゼンチンでコンテンツクリエイターとして数社の広告代理店に勤務した後、デジタルサイネージシステムの未来について学ぶためにKMDに入学。KMDでは、Global Computingプロジェクトと、環境情報を使ってリアルタイムで公共バスに情報を提供するマルチメディアサイネージ基盤「CITIUS」に携わりました。CITIUSのプロジェクトは、三菱重工業やシンガポール国立大学の教授・研究者と協働しながら実体験を積む貴重な機会となりました。
KMD在学中に、教授陣から全面的なサポートをいただき、日本国内でテレビやインターネット、デジタルサイネージ基盤にAVコンテンツを提供するビジネスを立ち上げることを決意しました。日本とアルゼンチンの両国を拠点とする少数精鋭のグラフィックデザイナーチームが、私の構想の実現を助けてくれています。今年は、J SPORTS、アメリカン・エキスプレス、スカパー!、エレクトロニック・アーツ、日本野球機構などにコンテンツを提供しています。私たちが制作したコンテンツは、渋谷や新宿の巨大スクリーン、池袋などの駅、ケーブルを含む各種テレビ放送、そしてスタジアムなど、東京のいろいろな場所で見ることができます。

(本記事は2016年3月に作成されたものです。)

深く考える、力強く推進する

新谷有幹

日本

CAREER  2011年4月入学、2013年3月修士課程修了

広告代理店に勤務し、2015年8月の異動まではデジタルクリエーティブ兼プロデューサーとして酒メーカーを、異動後は戦略プランナーとしてタイヤメーカーを主に担当しています。デジタルクリエーティブとしては、ウェブやSNSをきっかけに商品を話題にしてもらうこと、好きになってもらうことを目標に企画・制作をしていました。戦略プランナーとしては、商品の本来の魅力は何で、どうすれば伝わるかを調査し、仮説をたて、戦略に反映する仕事をしています。
KMDでは奥出直人教授のOIKOSで、music in communityという、音楽と地域社会の関わり方を考えるプロジェクトをゼロから立ち上げました。結果、慶應義塾大学で単位認定される音楽実技授業の実施が決まり、社会に少なからずインパクトを残すことができました。プロジェクトを通じて、世の中で喜ばれること、必要なこと、体験してみたくなることはなんだろうと深く考え、企画を実現するためにプロジェクトを力強く推進していくことを経験しました。KMDでの経験は今の仕事にも大きな影響を与えています。

(本記事は2016年3月に作成されたものです。)

幅広い分野から問題解決を図る

廣瀬雅治

日本

CAREER  2013年入学、2015年3月修士課程修了

入学前は理工学部で応用物理学を専攻していました。しかし研究を進めるにつれて、エンジニアリングにおける問題解決は1つの専門分野からのアプローチではなく、複数の分野からのアプローチが必須であると感じました。それが、テクノロジ、デザイン、マネジメント、ポリシーの多岐にわたる分野をバランス良く学ぶことができるKMDを選んだきっかけです。
KMDではリアリティメディアプロジェクトで、インタラクションデザインやバーチャルリアリティの研究を行っていました。ハードウェアからソフトウェアまで幅広く学びながら、プロトタイピングやシステムの設計と検証を行い、研究に取り組んでいました。学部時代とは異なる学問領域に修士課程から飛び込むのは勇気のいる決断でしたが、KMDでの研究活動はとても刺激的で実りのあるものでした。今は半導体企業で組み込みシステムやIoTのエンジニアとして活動しています。システム開発における問題解決は一筋縄ではいかないため、KMDで学んだ幅広い分野から問題解決を図るという姿勢は今でも活動の糧となっています。

(本記事は2016年3月に作成されたものです。)

夢を実現する場所

アヌーシャ・ウィタナゲ

スリランカ

CAREER  2008年9月入学、2010年9月修士課程修了/2010年9月入学、2013年9月後期博士課程所定単位取得退学、2014年2月博士(メディアデザイン学)

現在はシンガポール技術デザイン大学のSUTD-MIT国際デザインセンターで、誰もが簡単にコンピュータを使うことを可能とするヒューマンインタフェースについて研究をしています。特に、多感覚インタフェースや触角インタフェースに焦点を当てています。
KMDでは、「Reality Media」プロジェクトで、多感覚情報を用いて、空間における人間の知覚を理解するという研究をしていました。またその研究を実社会で応用すべく、トヨタITといった企業と産学連携を図りました。KMDの特徴的なところは専門性、文化、好奇心の“多様性”です。何かをしたい、あるいは何かのエキスパートになりたければ、KMDには1つの分野に精通した人材が必ずいて、彼らは情熱的に協力してくれるはずです。革新的なもの、面白いものをつくりたい人にとって、その夢を実現するのに相応し場所であると思います。
将来は人間の知覚に根ざした新たな情報システムの構築に貢献したいと考えています。

(本記事は2015年3月に作成されたものです。)

表現の幅が広がった

髙橋征資

日本

CAREER  2009年4月入学、2012年3月後期博士課程所定単位取得退学

KMDでは、「Reality Media」プロジェクトでエンターテインメントコンピューティングに関する研究に従事していました。稲見昌彦教授をはじめとする研究者の方々に専門的なアドバイスをいただき、自ら実装を繰り返すことで表現の幅が広がりました。また、海外の優秀な学生とともにプロジェクトを行ったことはとても貴重な経験でした。
現在はバイバイワールドという名で、エンターテインメントに特化したクリエイター活動を行っています。また、玩具やインスタレーション、ロボットなど様々なスタイルの商品や作品の創作活動に取り組んでいます。2014年6月からは、よしもとロボット研究所チーフクリエイターに就任し、ソフトバンクの最新ロボットPepperの公式エンタメアプリを監修・開発しています。これからもエンターテインメントとテクノロジーの可能性を追求していけたらと思います。

(本記事は2015年3月に作成されたものです。)

小さなアイデアを膨らませるチャンス

張 晋菁

台湾

CAREER  2010年4月入学、2012年3月修士課程修了

現在はUI/UXデザイナーとして、監視ソフトウェア会社で働いています。KMDでは、「Global Education」プロジェクトに所属し、映像伝達について学びました。主な活動内容である「オンライン授業」をサポートするなかで、自分自身のアイデアを構築し、もっとウェブデザインの技術を学びたいと思うようになりました。
新しく何かをつくるということはとても時間がかかりますが、KMDにはすべてのアイデアを実現させる可能性があります。そこで出会った人々は皆優しく協力的で、日々議論を重ねながら、小さなアイデアを膨らませるチャンスを常に求めていました。オープンな心で学び、常に挑戦し続けることで、重要なものを掘り起こすことができるとKMDで学びました。そして、この価値観が私にとって良き実践となり、人生の目標となっています。

(本記事は2015年3月に作成されたものです。)

多くの人に愛されるものとは

畑山桂吾

日本

CAREER  2011年4月入学、2013年3月修士課程修了

KMDでは、岸 博幸教授の「Creative Industry」 プロジェクトの下、で地域ブランドに関する研究に従事していました。宮城県・女川町とのプロジェクトでは、イベントやプロモーションの実施、まちづくり会社設立など、地域にとって本質的に必要なものは何かを追求し続けました。最終的に東京の日比谷公園で、来場者20万人を越えるイベントを成功させることができました。世代もバックグラウンドも異なり、物理的にも離れた場所にいる人々とのプロジェクトはとても貴重な経験となりました。
現在は、インターネット企業で企画プランナーの仕事をしています。KMD時代、多くの人々に愛されるものとこととは何か?という疑問に答えを出すべく、地域ブランドに関するプロジェクトに取り組みました。地域とは少し畑違いに見える仕事をしていますが、利用していただいている多くのお客様に対し最適なサービスは何なのかを考え・つくるこの仕事には、KMD時代の研究とプロジェクトの経験が活かされています。今後も多くの人に利用され、愛されるものづくりに精進していきます。

(本記事は2015年3月に作成されたものです。)

常に新しい挑戦を

宮本 徹

日本

CAREER  2011 年4 月入学、2013 年3 月修士課程修了

KMD では「OIKOS」プロジェクトに参加し、小売店舗のスタッフが来店者に購買促進させるためのサービスデザインについて研究しました。行動分析、アイデア出し、コンセプト構築、そしてプロトタイプをつくり、実際に店頭に置いて検証するという作業を繰り返しました。この研究では一から新しいものをデザインしていくということを経験しました。
KMDには学生のバックグラウンドの多様さとともに、グローバルな環境があり、様々な分野で活躍している教授陣と様々な経験をすることができます。プロジェクトルームで、色んな人と議論し、相談したりしたのは良い思い出です。
現在はインターネット関連企業でクリエイターとして、ユーザーにもっと使いたいと思ってもらえるようなデザインやインタラクションを日々考えてつくっています。将来はKMD での経験を活かし、常に新しいことに挑戦していきたいと思います。

(本記事は2015年3月に作成されたものです。)

とにかく手と足を動かした

八木 泉

日本

CAREER  2009 年4 月入学、2011 年3 月修士課程修了

KMD では「OIKOS」プロジェクトの中で「メディアファニチャー」という家具や住空間を取り巻くユーザー体験をデザインするサブプロジェクトに参加していました。一般家庭へフィールドワークに出かけて人々の生活を観察したり、プロトタイプをつくるために電子工作とお裁縫の日々だったり、とにかく手足を常に動かしながら研究をしていました。
現在は電機メーカーでエクスペリエンスプランナーとして、スマートフォンのUX デザインやアプリ企画をしています。変化が激しい業界ですが、ユーザー調査を行い、常にユーザー視点でのものづくりを心がけています。プランナーとして、エンジニアやデザイナーと一緒に仕事をし、プロジェクトを引っ張らなければならない立場ですが、KMD 時代のチームでのものづくりの経験が役立っています。入社4 年目から台湾への赴任となり、海外の人々と共に仕事をしています。KMD でも、中国、スリランカ、ブラジル、レバノンなどからの留学生とともに国際色豊かな環境で過ごし、彼らと一緒にプロジェクトを進めたことが今に活きていると思います。

(本記事は2015年3月に作成されたものです。)

世界を変えるほどのプロジェクトを

稲木 萌

日本

CAREER  2011 年4 月入学、2014 年3 月修士課程修了

KMD では、「Power of Motion Pictures(現在は「Creato」)」プロジェクトで、主にオンライン動画とUGC(User Generated Contents)関連の研究に従事していました。最終課題ではアーティストとの協働でプロモーション動画を制作。ギャラリーや美術館の協力を得て、数々のクリエイターやアーティストとのコラボレーションを行い、オフラインのイベントも開催しました。
現在はグーグルのYouTube チームで働いています。自社のスタジオで優秀なクリエイター(YouTuber)によるイベントを開催するなど、YouTube クリエイターのコミュニティーの育成に関わっています。これはまさに私がリアルプロジェクトで行った内容と直結するものであり、アーティストやクリエイターとの関わりも含めて、KMD で学んだスキルや経験は、確実に今の仕事に生かされています。ビジネスの視点からメディアを学べる環境であるKMD は、幅広い分野の研究を通して多くの貴重な体験ができる場所です。
今後は国内だけでなく、世界的な規模のイベントやグローバルなスケールでのコミュニティービルディングに関わり、世界を変えるほどの拡散力のあるプロジェクトを立ち上げたいと思います。

(本記事は2015年3月に作成されたものです。)

造形美だけではないデザインの価値

山本龍

日本

CAREER  2010年4月入学、2012年3月修士課程修了

学部時代は建築設計を学び、デザインするという行為を感覚的に、あくまで主観的に行っていました。しかし、KMDではモノの形を作るだけではなく、モノを通して使い手が得られる経験を創造する事の意義を学びました。メディアファニチャーというプロジェクトに参加し、実生活に基づいたリサーチ、アイデア出し、コンセプト構築を丁寧に行い、さらに家具のプロトタイプを作り、 ユーザーに普段の生活の中で使ってもらい、検証を繰り返す作業を通して、なぜつくるのか?そもそも、デザインとは何か?という根源的な問いを常に考えさせられました。
現在はイタリア・ベネトン社のリサーチセンター・ファブリカのプロダクトデザイナーとして、ミラノサローネなど国際的な展示会で作品を発表しています。KMDでの訓練は私のデザイン活動の基盤になっています。造形美だけでは到達できない領域にデザインの価値がある、という実感を持ってヨーロッパ の地で日々闘っています。

(本記事は2014年3月に作成されたものです。)

わからないことだらけ。だからこそ、とても新鮮

岡部 理

日本

CAREER  2011年4月入学、2013年3月修士課程修了

学部は経済学部に所属し、国際貿易や開発経済を専攻していました。KMD ではOIKOS というプロジェジェクトに関わり、日々の家族写真を簡単に楽しめるサービスのデザインを研究し、それまでの自分の研究分野や経験にとらわれることなく、全く新しい分野に一から挑戦することができました。また、様々な分野で活躍されている教授陣に、研究室や分野の垣根を越えて指導して頂いたことは、とても興味深かったです。また、学校に遅くまで残り、同じプロジェクトのメンバーのみならず、他のプロジェクトメンバーと相談し、笑いあいながら研究をしたこともとても楽しい思い出です。当時は辛かったですが(笑)。現在は、コンサルタントの仕事をしています。“適職”とか、“やりがい”とか、今はまだピンときませんが、KMD に在籍していた時と同様に、様々な業界や分野の方と仕事をするので、毎日わからないことだらけでとても新鮮です。将来のことはまだよくわかりませんが、止まることなく、常に新しいことに挑戦していきたいと考えています。

(本記事は2014年3月に作成されたものです。)

体験がすべて

竹内祐太

日本

CAREER  2011年4月入学、2013年3月修士課程修了

学部時代には情報工学系の研究室にいたため、自分で手を動かして何かをつくることが好きで、KMD では工学的なアプローチでモノづくりを行う Reality Media プロジェクトに参加しました。最初は楽しく何かをつくれればいいといった程度に思っていたのですが、「ヒトの知覚から 逆算して、与えたい体験をデザインし、システムに落としこむ」というReality Media のアプローチは新鮮で、新しい視座を得ることができました。特に、私は現実世界の触感をコピー& ペーストすることで誰もが簡単に触感を取得でき、バーチャルに生成するという研究を行っていたのですが、触感は体験しないと研究の狙いが伝わらないことが多く、プロジェクトのキーワードである「Demo or Die」という言葉に励まされながら、何度もプロトタイピングを続けました。
現在は広告代理店でテクニカル・ディレクターやプランナーとして働いています。これからもKMD 時代に培った「体験がすべて」という考え方を大切にしていきたいと思っています。

(本記事は2014年3月に作成されたものです。)

ソーシャルと自分のミッションを紡いだ理念の中で

藤代健介

日本

CAREER  2011年4月入学、2013年3月修士課程修了

学部時代の専攻は建築だったのですが、KMD ではSocial Entertainment / bouquet というプロジェクトを通じてサービスデザインを研究しました。KMD には世代や分野、国籍などの多様性とともに、様々なことを経験できる環境があると思っています。GID プログラムなどを通じて、サンフランシスコではスタートアップ文化を、ロンドンではグローバルキャリアを体感したことがKMD において一番印象に残っています。在学中にprsm というデザインオフィスを設立し、今に至っています。建築が作られる前の「場」をサービスデザインの観点からデザインし、同時にGlobal Shapers Community やTEDxTokyo にも携わり、さらにKMD リサーチャーとしても活動しています。今後はソーシャルと自分のミッションを紡いだ理念の中で、デザインになにができるのかを考え、グローバルに実践したいと思っています。

(本記事は2014年3月に作成されたものです。)

新しい技術の習得と実践の可能性

ヤン・ロッド

チェコ

CAREER  2009年4月入学、2013年2月後期博士課程修了

学部では哲学、メディアを学び、KMD ではアーバンコンピューティングを研究し、「Navinko」というプロジェクトに取り組みました。KMD の魅力はなんと言っても、日本の文化に強い関心を持って世界中から集まった素晴らしい人たちと、そんな学生たちの夢の実現をサポートしてくれる素晴らしいスタッフの存在です。また、最も忘れてはいけないことは、新しい技術を習得し、それを実践できる可能性がKMD にあるということです。将来、インタラクションデザインにおけるイノベーションを最高のクオリティで追求することを目指しながら、現在はインタラクションデザイン研究者として働いています。

(本記事は2014年3月に作成されたものです。)

充実した環境の中で

アニサ・マフディア・プラティウィ

インドネシア

CAREER  2010年9月入学、2012年9月修士課程修了

学部では視覚伝達デザインを専攻していました。KMD での研究は、「Growing Documentary Platform」における高度技術を用いて、ドキュメンタリーを共同制作するというものです。この研究はPMP プロジェクトの一部として、世界中の研究機関や団体との協力の下で成し遂げることができました。KMDでは、どんなことにも親身に相談にのってくださる先生方優しさが印象的でした。それに、研究のための設備や学生たちが集うスペースなど、施設がとても充実しています。
現在は、インドネシアのボゴール市で、自閉症や特別な支援を必要とする子供達のための学校でマネージャーとして勤めながら、テレビ番組のプロデューサーやグラフィックデザイナーとしてフリーランスの仕事をしています。将来は、自閉症の認知向上のためのドキュメンタリープロジェクトを完成させたいと考えています。

(本記事は2014年3月に作成されたものです。)

創作への強い意思を持ち続ける

ファビエン・デルモッテ

フランス

CAREER  2009年4月入学、2011年3月修士課程修了

現在、広告代理店でアートディレクターをしています。学部時代はインターナショナル・ビジネスを専攻していましたが、KMD では4K デジタルシネマを研究しました。KMD では、様々なバックグラウンドや経験を持つ人々と共通の目標に向かって協力しあうことができました。KMD での私の成果はさほど素晴らしいものではありませんでしたが、現在の仕事に辿り着くためには不可欠なステップだったと強く感じています。将来何が起こるのかは見当もつきませんが、私が唯一確信していることは、自分に創作の強い意志があることです。これからもずっとアイデアや感情を伝えるために創作し続けたいと思っています。

(本記事は2014年3月に作成されたものです。)

自分がいいと信じるモノやサービスをつくること

石川大輔

日本

CAREER  2009年4月入学、2011年3月修士課程修了

「何よりも自分がいいと信じるモノやサービスをつくること」。それが決してひとりよがりのものではなく、自分の隣、またその隣の人たちが好きになってくれるようなモノやサービスをつくろう。当時を振り返るとそう考えていたと思います。
プロジェクトでは、LEDを使用して家庭内の光環境を変化させる照明器具を製作しました。日本の家庭には古来よりハレとケという日常と非日常の空間が存在してきたことに着目し、今の日本の環境ならどういう照明が面白いかを考えました。例えば、ホームパーティーで設えを特別に変えるように照明も変える。ただスイッチを押すのでなく、テーブルクロスや皿、料理、酒を変えるのと同じ感覚で、照明器具のシェードを変えると、LED照明の明るさや色も変化するというものをつくりました。
また、同期たちと「デザインの寿命を長くする」という哲学の下「蝉 semi」というブランドを立ち上げました。屋外広告やデパートの懸垂幕を使用後に再利用したバッグやガジェットケースなどのデザイン・製作・販売を行っています。大学院修了後の現在も事業として、当時からの仲間たちと挑戦を続けています。

(本記事は2013年3月に作成されたものです。)

人々の生活に影響を与えるプロジェクトを

リン・ウェイリアン

シンガポール

CAREER  2009年9月入学、2011年9月修士課程修了

インダストリアルデザインが専門で、数年間デザインコンサルタント会社に勤務しつつ、革新的なプロトタイプをつくりたいという目標を持っていました。単なるスケッチやアイデアを起こすだけでは物足りなかったのです。人々の生活に影響を与えるようなプロジェクトとともに、起業したいと思っているうちにKMDを見つけ入学しました。
KMDでは、稲見昌彦教授の下で「リアリティメディア」プロジェクトに参加。「ファントムランナー」というプロジェクトに取り組みました。これは、自分が走った記録を計測しておき、次に走るときに「ファントム(過去の自分)」と並走させ、記録が伸びたかどうかを確認するというもの。それ以外にも、センサーや人間とコンピューターの相互作用に関する研究に取り組みました。
現在はT.Wareという企業でデザインリサーチと開発を行っており、自閉症やその他の感覚処理に困難を抱えている子供のために「T.Jacket」という製品を開発しました。現在はさらに新たな市場を求めて、触覚に関わるウエアラブル製品を開発中です。

(本記事は2013年3月に作成されたものです。)

研究の社会的意義を感じながら

野村友成

日本

CAREER  2010年4月入学、2012年3月修士課程修了

20代にはいくつかの会社を起業しました。10年間で数々の失敗とささやかな成功を経て、経営の難しさを学ぶと同時に、自分は経営者であるよりも社会にインパクトを与える新興メディアの最前線に携わりたいという思いの方が強いことを知りました。そこで、次の新たな10年の道を探すきっかけの1つになればいいなぁぐらいの漠然とした気持ちでKMDのドアのノックしたのが正直なところです。
当初は卒業後もビジネスにつながるような研究を望んでいましたが、入学後は中村伊知哉教授のポリシープロジェクトで、デジタル教科書教材協議会という初等教育のデジタルメディア環境を開拓するコンソーシアムの立ち上げに参加しました。それまでは教育には全く興味がありませんでした。しかし、その原因が「一斉指導」という教育法にあったのだということ、さらにそれはメディアで大きく変革を起こす余地があるという実態を知ったときから、だんだんと研究の社会的意義を感じるようになりました。後は、個人で上述の音楽配信プラットフォームの研究も同時に進めていました。
現在は、IHSという米国のリサーチ会社で、デジタルメディア・モバイル市場のアナリストをしています。海外展開を推し進める日本のメディア企業のために、世界中のアナリストと共同で国際プロジェクトを日々進めています。
(本記事は2013年3月に作成されたものです。)

実社会での活用を目指した研究

鹿毛雄一郎

日本

CAREER  2009年4月入学、2011年3月修士課程修了

KMDでは「街歩きやサイクリングをもっと楽しく、ワクワクしたものに」を実現する研究の一環として「Navinko」というiPhoneアプリの制作と、実社会での活用を目的とした研究活動をしていました。現在はリクルートライフスタイルで、新規サービスのUIデザイン担当として、ユーザーと企業が利用するおよそ400画面の設計からコーディングに携わっています。KMDで学んだ経験は今の仕事にもつながっています。

(本記事は2013年3月に作成されたものです。)

手を動かしながら考える

磯谷拓也

日本

CAREER  2010年4月入学、2012年3月修士課程修了

学部では美術史を専攻しながら、独学でファッションブランドのディレクションなど、色々な角度からデザインへのアプローチを行っていました。KMDへの入学を決めたのは、社会とのつながりの中でデザインを捉えたいという思いからです。KMDでは医療サービスのデザインをテーマに研究に取り組みました。医療現場で看護師とコミュニケーションをとりながら、プロトタイプをつくり、現場で試すということを徹底的に行いました。現在はリクルートライフスタイルでエンジニアとして新規サービスの立ち上げに携わっています。KMDで学んだ、現場を捉えて手を動かしながら考えるという経験は今も生きています。

(本記事は2013年3月に作成されたものです。)

自らビジネスを立ち上げ挑戦する。アントレプレナーとしての基盤

市村昭宏

日本

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了

説明会で個性溢れる教授陣に強い共感を覚え、リアルプロジェクトでの経験こそが社会で勝負するための基盤であると強く感じ入学しました。在学中は、古川享教授と岸博幸教授の下で多くの挫折を経験しながらも、プロジェクトの実現に必要な分析力と行動力、そしてマネジメント手法を学びました。リアルプロジェクトでは、実社会に足を運びフィールドワークを行うことで、ユーザーの声を取り入れ、市場ニーズを肌で感じながらサービス設計を行うことを徹底します。プロジェクトを通じて学んだ経験が現在の自分の基盤になっていると言っても過言ではありません。
修了後は、Live Styles株式会社を立ち上げ、スマートフォンに特化したチケット販売サービス“tixee(ティクシー)”の経営、運営をしています。tixeeでは、従来プレイガイドを利用していない中小規模のイベント主催者が簡単にチケットを販売する事のできるプラットフォームを提供しています。
MBAや通常の大学院とはひと味違う「KMDだからこそなし得る学びと経験」を通じて出会った多くの仲間、そして教授陣とは現在も交流が続いており、これからも世界を変える多くの仲間に出会えることを楽しみにしています。

(本記事は2013年3月に作成されたものです。)

全力で手と足を動かしチームで助けあうことの大切さ

佐藤千尋

日本

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了/2010年4月入学、2013年3月後期博士課程単位取得退学

幼少期はニューヨークで過ごし、ピアニストになるべく教育を受けていました。大学は経済学部で経済地理学を専攻し、既存の都市を分析する方法を学びました。しかし、実際に何かをつくりたいという気持ちが強く、たまたま山手線内で見かけたKMDのポスターがきっかけで一期生として入学しました。当初はPCもまともに扱えなかった私でしたが、チームメンバーに恵まれ、数々のディスカッションや技術共有を行った結果、修士では複数センサを組み込んだポータブルデバイスをつくり、自分自身の興味地図をつくるシステムを構築しました。諦めずに全力で手と足を動かすことで何かしらを得られることと、チームで助けあうことの大切さを肌で感じました。ものを生み出す楽しみと苦しみの虜になってしまい、博士課程進学を決めました。
博士課程になってからは、元々慣れ親しんでいた音楽という題材を切り口に空間デザインのプロジェクトを立ち上げました。最初の1年間はチームでプロトタイプ制作と飛び込み営業を繰り返し、一緒に研究をしていくパートナー企業にめぐりあえたときには、研究を続けてきて良かったと思いました。
現在は、大規模商業施設において、人々が何度も来たくなるように、音を用いて空間をデザインするプロジェクトの全体責任者をしています。商業施設内の人が集まりにくい副動線に対して、より多くの人を呼び寄せられるような道のデザインを行っています。施設運営企業と議論し、新しい商業施設の設計方法を生み出そうと日々取り組んでいます。
(本記事は2013年3月に作成されたものです。)

リアルプロジェクトでの経験が現在に生きている

堀口大輔

日本

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了

学部時代の研究を社会に出して勝負したいという思いがあり、KMD のリアルプロジェクトはその思いを叶えるものだと感じたので入学しました。
KMDでは、岸 博幸教授の下で「Policy Watch」プロジェクトに参加しました。政治・政策に特化した有識者を集め、若者向けにインターネットで政策や政治動向の解説などを行うビデオサイトを作成しました。「MSN 産経」「ダイヤモンド・オンライン」といった他メディアと連携することで門戸を広げ、認知度を高めていきました。ネットだけでなく、利用者が年に1 回顔を合わせるイベントを行うことで、より強いコミュニティの形成に挑戦しました。
KMD の良いところは、社会人経験者と一緒にプロジェクトを進められることです。メンバーのバックグラウンドが異なることが、プロジェクトとしての深みにつながり、結果として良いプロジェクトが多かったのではないかと思います。
在学中の9月にExim LLC. を起業しました。スローガンは「新しいメディアによって新しい経験をデザインすること」。主な事業内容は新しいメディア開発、Web デザイン、Web コンサルティングです。KMD でリアルプロジェクトをやり遂げた経験が今の仕事の基礎となっています。打ち合わせをして、つくって、触って、直す。この繰り返しでより良いものになるという確信を得られたことが大きな財産となっています。Exim LLC. のデザインの根幹にある「3つの要素(Web、リアル・ インタラクション、他メディア)がうまく連携していること。2つの特性(エンターテインメント性と利便性)が反映されていること」はリアルプロジェクトを通して学んだことであり、今でもこれらを常に意識したものづくりを行っています。今後もユーザーを笑顔にするような経験を生み出すメディアをつくっていきたいと考えています。

(本記事は2012年3月に作成されたものです。)

世の中に貢献するための基盤

林 瑞恵

日本

CAREER  2008年4月入学、2010年3月修士課程修了

学部時代は建築を学んでいました。終末期医療を提供する病院設計に取り組むなかで、病院建築というハード面のデザインが、病院で患者と家族が受けることのできる経験を限定的にしていることに疑問を感じ、大学院では人の生活に柔軟に対応することが可能なサービスデザインに取り組みたいと考えるようになりました。
奥出直人教授の「メディカルプロジェクト」では、地域医療が抱える課題を探るために、大学病院、医師会、地域の開業医と協力してフィールド調査を行いました。例えば、在宅医療を行っている医師の訪問診療に同行し、観察を行い、医師、患者、家族など、関わる人々自身が気づいていない潜在的な課題を探りました。その調査結果をデザイン思考の手法に基づいて分析し、在宅医療関係者間の連携を促進するためのアプリケーションと、退院支援を行うWebサービスをデザインしました。企業と連携してコンソーシアムを設立し、デザインしたサービスを実際に社会に展開することにも力を注ぎました。
現在はNTT の研究所で、コンピュータ同士が通信するM2M の時代に収集される多様なデータを、個人利用のみではなく、地域コミュニティで利活用することで、地域や社会を豊かにするという目標を持ったグループに所属しています。実世界でのコミュニティをより活性化するために、集団におけるコミュニケーションの特徴を分析し、必要な技術開発に取り組んでいます。将来的に、私個人としては、医療、介護などの分野で必要となる技術開発と、開発した技術のサービス化に取り組みたいと考えています。
KMD で習得したことは、世の中に貢献したいという思いを実現するための、私自身の基盤となっています。

(本記事は2012年3月に作成されたものです。)

デザイナーの視点でソリューションを提供できる能力が備わっている

グスタヴォ・ドリー

ブラジル

CAREER  2009年9月入学、2011年9月修士課程修了

以前はブラジルでマーケティングの仕事に携わっていました。KMD では稲蔭正彦教授と太田直久教授が取り組む「イベントプロデュース」のプロジェクトに入りました。その後、奥出直人教授が「メディアファニチャー」の研究を始めたので、両方のグループに参加しました。
イベントプロデュースのプロジェクトでは、人を楽しませるためにテクノロジを使って新たなイベントを行う方法を研究しました。KMD 以外の関係者も多く、日本のビジネス社会に接する貴重な機会でした。2 年目からメディアファニチャーのプロジェクトに集中して、デザイン思考の視点で「家具をメディアとして使う」ものづくりを行いました。デザインもプログラミングも学びましたが、いちばん良かったのはデザイナーとして考えるプロセスを学べたことです。卒業後に仕事で困難にあったとき、デザイナーの視点でソリューションを提供できる能力が備わっているのを自覚できたのは素晴らしい経験でした。KMD は異なるバックグラウンドを持つ面白い人が集まっているので、自分の考え方も広がるし、ネットワークも広げられます。
私は現在、ソニーで「VAIO」の企画をしています。来年からは自分の考えを反映した次世代のPC が発売され始める予定です。メーカーはいつも新しいアイデアやプロセスを探しています。KMD で学んだデザイン思考のプロセスを提供することで、将来のメディアの世界に向かってイノベーションを行う方法をつくり上げられればと思います。

(本記事は2012年3月に作成されたものです。)

リアルだからこそ、情熱が持てる

マリン・ラオ・タンポウォン

インドネシア

CAREER  2008年9月入学、2011年3月修士課程修了

大学を卒業後、教育にフォーカスした国際的な教育機関で学びたいと考えました。マルチメディアのICT(情報通信技術)を生かした教育にも関心があり、修士号も取れることからKMD に入学しました。
大川恵子教授の「Global Education Project」では、SOI Asia( スクール・オブ・インターネット・アジア)と協働して、衛星通信のインターネットを使った遠隔教育やE ラーニングを研究しました。遠く離れた人々に対して、グローバルな協力体制で支援できる可能性を学んだ経験から、私は東ティモールの小学校の児童たちが、物語形式でポルトガル語を学ぶプロジェクトを立ち上げました。ポータルサイトを公開し、世界中にいるポルトガル語を話す人々と協力する体制をつくったのです。
KMD の良いところは、書物やコンピュータからではなく、実社会に出てリサーチを行い、具体的なモノやサービスで成果を発表する「リアルプロジェクト」から経験を得られる点にあります。リアルなものを対象にすることで、より情熱を持って何かをつくり出すことができるのです。
現在の私は「Engineering, Science Technology and Informatics Unit (EST) 」のジュニア・プロジェクト・アシスタントをしています。アジア太平洋地域の大学と協力して、高等教育のE ラーニングや遠隔教育の実現を目指しているところです。国際的な組織で今後も途上国の教育開発に取り組み、将来は母国インドネシアの教育システムの改善に寄与したいと思います。

(本記事は2012年3月に作成されたものです。)

多様な人々と接し、社会的スキルを高める

マ・ランラン

台湾

CAREER  2009年9月入学、2011年9月修士課程修了

以前から、東京でさまざまな文化的、専門的バックグラウンドを持つ人々と接する機会を得たいと思っていました。自分が持っているマーケティングやプロジェクト・マネジメント、社会的スキルを高めたいと思い、KMD に入学しました。
KMD ではプロジェクト・マネジメントとHCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)の研究をしました。玩具+ デジタルライフをテーマにする「キュートセンター」に参加して、インタラクティブ玩具「ペティモ」をSNS のプラットフォームを使ってデザインするプロジェクトに取り組みました。現実の世界だけでなく、オンライン上でも子供たちの安全性を高めることに挑戦しました。
現在はHTC というスマートフォンのメーカーで、デザインスタジオのプロデューサーとして働いています。私の役割は、コンセプト開発からライフサイクルまでを見通し、デザイン、開発、品質管理の各部門に伝わるよう、簡潔かつ明確に商品の説明や必要な条件を発信することです。将来は、ユーザー経験のデザイン、モバイル・インターフェース、コミュニケーションデザインの分野で知識を深めたいと思っています。また、モバイルテクノロジを使った人材開発と児童教育についても研究したいと考えています。

(本記事は2012年3月に作成されたものです。)