KEIO UNIVERSITY GRADUATE SCHOOL OF MEDIA DESIGN
社会学者ゾンバルトが⼀世紀前に述べたのは、贅沢とは「必需品を上回るものにかける出費」という主旨でした。最低限の⽣活を営むための必需品ではないものに投じる出費は、⼀種なくてもいいものではありますが、あったらきっと嬉しいものでしょう。バロック時代の宮廷での⽣活は紛れもなくLuxuryとExtravaganceな存在でしたが、意外にも宮廷に必須な「鏡」を⼤量⽣産する⼯場の設備投資こそが資本主義経済の基礎となっているとゾンバルトは述べました。これを受け美学哲学者ベーメは、階級社会ではない現代においては余剰消費こそが贅沢であるが、むしろ現代の⽣活にはあるべきものであると述べています。
閑プロジェクトでは、余⽩・余剰・余暇・欲望など、⽣活必需品とは限らないがそれを上回る存在である贅沢に該当するものを扱います。質素堅実の真逆で⼀⾒⽣産性向上に直結しなさそうなあらゆるもの、つまり余⽩のある⽣活のあり⽅について模索します。⼿法としては、既存の⽣活がどのように送られているのかを⺠族誌調査し、経済学者シュンペーターが述べる再結合が適切に⾏えるべく資源統合を行い、マーケティング分野におけるサービスドミナントロジックに則り人々に価値として感じてもらえるよう提供できるようなサービスの形を実装し、それが活きるエコシステム・制度を包括するサービスデザインを実施します。