メディアデザイン研究科への招待
―破壊的創造性で夢の未来を形作る
メディアデザイン研究科(KMD)は、イノベーションを自ら生み出し社会に向けて価値を創出する能力を持つ「メディア・イノベータ」の育成をミッションとしています。メディア・イノベータは分野や国境の枠を超えてグローバルに活動し、創造社会を先導していきます。
慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科
委員長 稲蔭 正彦

加速する創造社会
現在、グローバルな社会が感染症、地域紛争、環境問題など複雑な課題に多数直面し、これまでの常識や価値観、社会システムが通用しなくなりつつあります。また、デジタルトランスフォーメーションにより、社会の構造や機能が大きく変化し始めました。このような不確実性と速い変化の時代においては、先端的なデジタル技術によって加速化するデジタルトランスフォーメーションを軸としながら、持続可能な望ましい社会の再構築が急務です。そのためには、これまでの常識や慣習にとらわれず、望ましい未来を描くフューチャーズ・リテラシー(未来創造力)が必要です。従来からの問題解決型ではなく、新しい価値を社会に提案するイノベーションによって市場と社会を創り出すための実践的な活動を行い、未来を描き先導できる次世代グローバルリーダーの育成を続けていきます。
KMDでは、フューチャーズ・リテラシーを獲得するためにドリームドリブンデザインと名付けたメソッドを用いて未来を描いています。破壊的イノベーションを起こすために様々な手法を用いて未来を実現する独創的なアイデアを発想し、プロトタイプを何度もつくる作業 (MAKE)を行います。それに止まらず、プロトタイプを社会に届ける研究と実践(DEPLOY)を行います。また実際に社会にイノベーションを提供した後、その成果の社会的インパクト(IMPACT)の研究と実践も行っています。この一連のプロセスを支えているのが破壊的創造力(クリエイティビティ)であり、それは様々な視点から物事を捉えて新しいアイデアや表現、プロセスをゼロから生み出し、ユニークな社会的価値を創り出す力です。
社会的インパクトの追求
KMDでは、メディア・イノベータを育成するため、理論と実践のバランスを保ちながら、ゼロ(アイデア)からイノベーションを創造し、それが市場に提供されて社会的インパクトを生み出すまでの、一連の展開を実践していきます。これを「リアルプロジェクト」と呼び、KMDの活動の中心となっています。
学術的な貢献を超え、新しい製品やサービスなどのビジネス展開や標準化、制度改正の提言など、グローバルな創造社会へのインパクトを目標としています。国際社会の一員として先端的な活動を行うため、英語と日本語を公用語とし、オンライン空間と物理空間の融合をめざした環境整備を行っています。
リアルプロジェクトでは地域間のコラボレーション手法やグローバルに通用する共通性の把握、地域性に適応するための順応力などのトランスナショナル・マインドを養うとともに、イノベーションの創出を目指します。様々な専門性や文化価値で構成されるダイバーシティのあるチームを組織し、その力を最大限発揮するための21世紀型リーダーシップの経験を積む実践的な学びの場としても位置づけられています。
国際人としてのグローバルリーダー
グローバル化する社会では、地域の特有な文化や経済価値を理解し、地域間の文化価値の差を尊重でき、さらには専門分野の枠を超えてコラボレーションできる人材を国際人と呼びます。国際人には共通言語としての英語力、知性、マナーなどに加え、地域性を理解する力が求められます。また、地球視点に立ち、持続可能な未来社会を実現するための活動に貢献することも重要なリーダーの資質です。そのため、国内外にKMDの拠点および提携拠点を設置し、国際的なパートナーとのコラボレーション・プロジェクトを実施しています。また、共通言語としてプロジェクト遂行に必要な英語力を獲得するための科目も設置しています。
未来社会のための3つのリテラシー
望ましい未来社会を構築するためには、革新的な技術によるデジタルトランスフォーメーション、新しい社会構造と価値を変革するソサエタルトランスフォーメーション、一人一人の価値観と行動変容によるヒューマントランスフォーメーションが求められています。人、動植物を含む自然、ロボットなどのマシンが共存する持続可能な社会の姿を描くことが急務です。この社会変革を先導するためには、未来を描くためのフューチャーズ・リテラシー、現在の社会構造、価値観、常識にとらわれないイノベーション・リテラシー、オンライン空間と物理空間を融合させて活動をするためのメディア・リテラシーの3つのリテラシーが必須です。KMDでは、実践をとおして3つのリテラシーとマインドセットを獲得していきます。